デジタルのプレイヤーカードを利用し、仮想のサッカーチームを購入・取引できるNFTサッカーゲーム「Sorare(ソーレア)」は9月9日、スペイン国内リーグのラ・リーガと提携したことを発表しました。この提携により、ラ・リーガに所属する全20クラブがソーレアに参加し、ラ・リーガ全選手のデジタルカードの販売が開始されました。
この記事では、人気サッカー選手のNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン) カードに高値がついた事例や、JリーグのNFT市場への参入などについて解説します。
スポーツでも盛り上がりを見せるNFT
アートやゲーム、音楽、エンタメ業界などだけでなく、スポーツでもNFTは盛り上がりを見せています。それでは、一体どれほど盛り上がっているのでしょうか?ここでは、人気サッカー選手のNFTカードに高値がついた事例と、サッカーのNFTに多額の資金が投資された事例を見ていきましょう。
人気選手のNFTカードが高額に
今回ラ・リーガの全クラブとの提携を発表したソーレアは、以前からラ・リーガに所属するレアルマドリードやバルセロナなどのチームと提携してデジタルカードを販売するなど、NFT取引に積極的に取り組んできました。そして2021年3月には、ソーレアで使えるクリスティアーノ・ロナウド選手のNFTカードに28万9,920ドル(約3,300万円)の値がつきました。
そのほかに高値がついた事例として、伝説のサッカー選手ペレ(エドソン・アランテス・ド・ナシメント)氏のNFTカードが挙げられます。ペレ氏のNFTは、イーサリアムのネットワーク上に構築されたNFTプラットフォーム「Ethernity Chain(以下、Ethernity)」にて発売されました。
Ethernityによると、ペレ氏のトレーディングカードのデジタル版リリースは今回が初めてとのこと。ペレ氏の物理的なトレーディングカードはすでに存在し、保存状態の良いものには28万8,000ドル(約3,200万円)の値がついたこともあったといいます。伝説のサッカー選手のNFTが発行されることから、どれほどの高値がつくのか注目されています。
運営会社が約744億円を調達、NFTへの期待感
NFTサッカーゲームの運営会社であるソーレアは、6億8,000万ドル(約744億円)を調達しました。今回の調達ラウンド(シリーズB)をリードしたのは、ソフトバンクのビジョンファンドなどで、同ラウンドにおけるソーレアの評価額は、43億ドル(約4,900億円)となったことが公表されています。このように多額の資金がNFT事業に投資されていることからも、スポーツ業界におけるNFTへの期待感がうかがえるでしょう。
日本でもJリーグがNFTに参入!
海外だけでなく、日本でもJリーグがNFT市場に参入しています。ここでは、2つの事例を見ていきましょう。
ソーレア、Jリーグ所属全選手のNFTカードを発行
JリーグのNFT市場参入の事例として挙げられるのが、前述のソーレアの取り組みです。ソーレアは、スペイン国内リーグだけではなくJリーグとも連携し、Jリーグに所属する全選手のNFTカードを発行することを2020年8月に発表しました。この発表に合わせて暗号通貨関連事業を運営するコインチェック株式会社は、同社が運営するNFT マーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」でのソーレアの取扱いを公表しています。
スポーツブロックチェーンゲームにおけるJリーグとのライセンス契約
ほかの事例として、スポーツブロックチェーンゲームにおけるJリーグとのライセンス契約が挙げられます。ソーシャルゲームやITサービスの企画・開発・運営を行う株式会社OneSportsは、ブロックチェーンゲーム事業を行うアクセルマーク株式会社と共同開発中の新作スポーツブロックチェーンゲームにおいて、Jリーグとライセンス契約を締結したことを発表。この締結により、プロスポーツリーグライセンスを使用する国内初のブロックチェーンゲームになったとしています。
このゲームには、2021シーズンの明治安田生命J1およびJ2リーグ所属の全42クラブ800名以上の選手が実名実写で登場。ユーザーはクラブのオーナー兼監督となり、自分自身のクラブを作り上げてリーグの頂点を目指すストーリーとなっています。基本的には無料でプレイでき、ゲーム内で育成した選手のカードをNFT化することで、ユーザー間での売買が可能になります。
コレクション要素も高いスポーツNFT
NFT市場に参入しているスポーツは、サッカーだけではありません。ここでは、今回ご紹介したサッカーを含むコレクション要素の高いスポーツNFTを確認し、その可能性を探っていきましょう。
サッカー
ヨーロッパサッカーを中心に展開してきたスポーツNFTとして、チリーズ(Chiliz)が挙げられます。チリーズとは、海外サッカーなどのスポーツチームとそのファンをつなぐプロジェクトと、そのプロジェクトで使用される仮想通貨の名称を指します。
チリーズは2019年末、ブロックチェーン技術を活用してプロスポーツチームがファントークンの発行と販売ができるプラットフォーム「Socios.com(ソシオスドットコム)」を立ち上げました。
そして2021年7月、同プラットフォームにおいてイタリアセリエA所属のクラブであるインテル(インテルナツィオナーレ・ミラノ)と提携し、同クラブのファントークン「$INTER」がSocios.comにて販売されることが発表されました。「$INTER」販売に向け、インテルのユニフォームの前面胸部には「$INTER Fan Token by Socios.com」が掲出されています。
バスケットボール
バスケットボールの分野で有名なスポーツNFTとして、NBA選手の試合でのプレーのハイライトをNFTとして所有できるデジタルトレーディングカードサービス「NBA Top Shot」があります。NBA Top Shotは、NFT関連企業のDapper Labsが手掛けるNFTコレクションゲームで、世界で最も人気のあるNFTコレクションゲームの一つ。
Dapper LabsはNBA Top Shotのほかにも、NFTアート業界で人気を誇るアート作品「CryptKitties」や、次世代ブロックチェーン「Flow」の開発など、NFTに関連するさまざまな商品の開発を行っており、NFT業界の先駆者ともいわれています。
NBA Top Shotでは、独自のイベントやキャンペーンを実施しているほか、これまでにプロバスケットボール選手のレブロン・ジェームズ氏がスラムダンクを決めるハイライトが20万8,000ドル(約2,300万円)の高値で落札されるなど、話題を呼んでいます。
野球
特にメジャーリーグでは、球団や選手個人、関連企業などが続々とNFT業界に参入しています。そのなかでも特に注目を集めているのが、メジャーリーグの野球カードを制作する米Topps(トップス)が発行した野球カードのNFTです。これは、MLB(メジャーリーグベースボール)と、MLBPA(メジャーリーグベースボール選手会)との提携により実現しました。
野球カードのNFTは、ブロックチェーン技術を活用した分散型取引プラットフォーム「Wax」上で販売されており、WAXのネイティブトークンである「WAXP」で取引できます。Toppsは主力製品である野球のトレーディングカードをNFTで展開することで、野球カード事業の拡大を図っているようです。
まとめ
NFTサッカーゲーム「Sorare」がスペイン国内リーグ全選手のデジタルカードを発行したり、日本でもJリーグがNFT市場に参入したりするなど、NFTはスポーツ業界でも盛り上がりを見せています。サッカーやバスケットボール、野球など、コレクション要素の高いスポーツがNFT市場に参入することで、スポーツ業界全体を盛り上げることにもつながるでしょう。
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