米Adobeは10月26日、同社が提供するソフト「Adobe Photoshop(アドビ・フォトショップ)」で4つのNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)プラットフォームに対応することを発表しました。この記事では、Adobeが発表したNFT対応の詳細や、これによりもたらされるメリットをご紹介します。
Adobeがクリエイターの著作物を守る取り組み
私たちの身の回りには、写真、小説、楽曲、絵画、アニメ、漫画など、多くの著作物があります。今回Adobeは、こうした著作権に関する被害を減らすべく、NFTマーケットプレイスへの対応を発表したようです。ここでは、著作権に関するどのような被害があるのかをご紹介します。
無断転載、無断使用される作品
クリエイターの著作物のなかには、無断転載、もしくは無断使用されてしまう作品があります。そもそも他人の著作物は、「著作権法」で守られており、基本的には無断転載・無断使用ができません。そのため、他人の著作物を無断で転載・使用すると、違反行為とみなされてしまうのです。
勝手に商品化される被害も
そのほかに、著作物が勝手に商品化される被害も出ています。たとえば、著作物をぬいぐるみとして販売したりアニメーション化したり、販促物のパッケージデザインに採用する例が挙げられます。こうした商品化は、著作権を実際に作品を作成した本人から企業などに譲り渡す「著作権譲渡契約」などを締結していない限り、著作権侵害として訴えられるケースがあります。
Photoshopが4つのNFTマーケットプレイスに対応!
著作権に関する課題を解決するべく、クリエイターに人気のソフト「Adobe Photoshop」では、以下の4つのNFTマーケットプレイスに対応する新機能を発表しました。この新機能は、まずはベータ版として提供されます。
- OpenSea(オープンシー)
- KnownOrigin(ノウンオリジン)
- SuperRar(スーパーレア)
- Rarible(ラリブル)
新機能では、Photoshopで画像編集する際にIDデータを取得してメタデータとして保存。このメタデータに、クリエイターのウォレットアドレスやソーシャルメディアの情報を追加できるようになります。これにより、クリエイターが自身の作品をNFTマーケットプレイスに出品した際、Adobeが認証した情報に基づくデジタル証明書が表示され、NFTの制作者であることの証明ができるようになるとしています。
また、NFT制作者が匿名を維持するためのオプションが用意されており、「制作者の暗号アドレスを表示する」もしくは「ソーシャルメディアのプロフィールを表示する」の2つから選択できるようになっています。
Adobeの最高製品責任者であるスコット・ベルスキー氏によれば、今回の発表はユーザーの要望に応えたものであるとのこと。Photoshopで制作した作品をNFT化したとしても、他のユーザーが作品を模倣してNFT化してしまい、作品の著作者が誰であるかを証明する方法がない、という不満がユーザーから寄せられていたようです。
作品のNFT化がクリエイターを守ることに繋がる
作品のNFT化は、著作権の観点でクリエイターを守ることに繋がります。Photoshopの例にあるように、作品をNFT化することで誰が作品の著作者であるのかを証明でき、無断で作品が利用されて利益が出てしまうという状況を回避しやすくなるからです。
さらに作品のNFT化は、収益化の観点からもクリエイターを守ることに繋がるでしょう。なぜなら、OpenSeaやRaribleなどの大手マーケットプレイスでは、二次流通によるロイヤリティが採用されており、クリエイターが収益を得やすくなっているからです。
もしロイヤリティが採用されていなかったとしたら、繰り返し高額で転売されるNFTを制作しても、転売するユーザーにのみ収益が入り、クリエイターには収益が入りません。一方でロイヤリティが採用されていれば、NFTが転売されるたびに、取引金額の数%がクリエイターに自動的に還元される仕組みとなっています。
まとめ
これまでクリエイターの著作物は、無断転載されたり勝手に商品化されたりするなどの被害を受けることも少なくありませんでした。今回、Adobe Photoshopのようなクリエイターに人気のソフトがNFTマーケットプレイスに対応したことで、作品の著作者が誰であるのかを証明できるようになっています。こうした特徴を持つNFTの活用は、クリエイターを守ることに繋がるでしょう。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。