「夕張メロンNFT」に見る農業とNFTの親和性とは?Web3的な取り組み事例をご紹介

「夕張メロンNFT」に見る農業とNFTの親和性とは?Web3的な取り組み事例をご紹介

ゲームやアート、スポーツなどのさまざまな分野で活用されているNFTですが、最近では農業分野での活用も増えています。果たして、農業とNFTの親和性はよいのでしょうか。この記事では、NFTが農業においてどのように活用されているのかを紹介します。

夕張メロンがもらえるNFTって何?

MeTown株式会社と北海道夕張市農業協同組合は、1月21日から、夕張メロンNFT(デジタル会員証)の一般販売を開始しました。MeTown株式会社は、デジタルを起点に、地域の豊かさと都市の利便性を融合させたライフスタイルの実現を目指すWeb3プロジェクトチームです。

NFTの数量は888個限定で、価格は0.07ETH/個に設定されています。

デジタルアートのイメージ(出典:MeTown株式会社)

夕張メロンNFTには、以下のコンテンツや権利が含まれています。

  1. NFTアーティスト(4ge)によるデジタルアート
  2. 夕張メロン引換券(1玉を指定の住所に届けられる権利)
  3. JA夕張市公認 夕張メロン「デジタルアンバサダー」になれる権利
(出典:MeTown株式会社)

夕張メロンは夕張市内でのみ生産が許されている希少な農産物ブランドですが、現在は作り手の高齢化などにより、生産量が減少傾向にあります。そこで、夕張メロンの作り手を支えるファンの輪を広げることを目的として、今回「デジタルアンバサダープログラム」が立ち上げられました。

一般販売に先立ち、1月14日に実施した事前登録者限定のプレセールでは、2時間で105個が完売しました。

メロン以外の農産物でもNFTを活用

夕張市ではメロンのNFTが販売されていますが、他の自治体では、いちごやみかんなどのNFTを作り、地域創生に役立てています。事例を詳しく見ていきましょう。

いちごNFTは魅力的な権利を保有可能

農業支援組織「Metagri研究所」は、熊本県山都町のいちご農家「なかはた農園」と共同で、115点限定のNFT『MetagriLabo Ichigo Collection (略称:MLIC)』の販売を1月15日(いちごの日)に開始しました。

Metagri研究所は、農業ブランディングサービスを展開する「株式会社農場人」が運営する組織で、持続可能な農業の実現に取り組んでいます。

MLICを購入した人は、次のような充実した特典を受けることができます。

  • なかはた農園オンラインいちご狩り参加券
  • 新たに取り扱う農業NFTの優先購入権
  • Metagri研究所の定例セミナー無料参加券
  • Metagri研究所の限定チャンネル(Discord)への参加権

MLICを通じて生活者と新たな関係を構築することで、なかはた農園の価値を高め、「地域に支えられた農業」から「地域を支えていく事業づくり」を目指すとしています。

Metagri研究所は今回の取り組みを皮切りに、「農業×ブロックチェーン」をキーワードに持続可能な農業の実現に取り組むDAO(自立分散型組織)を構築していく意向です。

みかんNFTは人気イラストレーターとのコラボ

Metagri研究所は他の自治体とも共同で、NFTプロジェクトを実施しています。

Metagri研究所は、愛媛県松山市中島における「ナカジマみかんNFTシリーズ」の第2弾として、中島出身のイラストレーター田中哲平氏とのスペシャルコラボレーションNFT(1点)を、1月4日〜1月5日にオークション形式で販売しました。

田中氏は人気のフリーイラストレーターで、ヴァンガード、Z/X、ガンバライジング、デジモンカードゲーム、『氷結系こそ最強です』の挿絵などを手がけています。

入札者と落札者に対しては、以下のような特典が用意されていました。

  • 入札者:田中哲平が手がけたデジタルアート「ナカジマどんな」の原画1種類をエアドロップ
  • 落札者:田中哲平が手がけたデジタルアート「ナカジマどんな」の原画3種類すべてをエアドロップ

落札者には、デジタルアートに加えて、中島で生産したみかんも提供されます。

中島で生産されたみかんとNFTを掛け合わせた「ナカジマみかんNFTシリーズ」の第1弾では、「ナカジマはれひめNFT」を2022年12月22日に販売し、即日で完売しました。今回の第2弾に続き、今後も新たな「ナカジマみかんNFT」の販売を予定しているとのことです。

また、NFTをきっかけとしたつながりにより、DAO(自律分散型組織)のコミュニティ運営支援も手がけることで関係人口創出を目指しています。

農業DAOは有効に機能するのか?

地域の特産品をNFTとして販売するだけでなく、ブロックチェーン技術を基盤としたDAOを農業で活用する「農業DAO」により、地方活性化を目指す企業や自治体が増えてきています。しかし国内では、農業DAOの事例はまだ多くありません。農業DAOは有効に機能するのでしょうか。

ここからは、中国企業による農業DAOの事例をご紹介します。

トレーサビリティや観光にブロックチェーン技術を導入

ブロックチェーンやスマートコントラクトなどのサービスを開発する中国企業のVonechain社は2017年、農業生産品のトレーサビリティをブロックチェーンで管理するサービスをリリースしました。

2022年6月には、中国湖南省の文化・観光プロジェクトを受注し、「ブロックチェーン・Web3による農村振興」を手がけました。同プロジェクトの目的は、中国の典型的な農村において、農業以外の観光収入を確保することです。

この目的を実現させるために、Vonechainは自社開発したDAO構築のためのプラットフォーム「VoneDAO」において、さまざまなWeb3技術を提供しています。

たとえば、民泊のプロモーションを手伝うとインセンティブとしてNFTが発行されます。今後はさらにDAO化を進め、プロモーションやプランニングなどの無形の関わりに対してトークンを発行する計画があるとのことです。

農業DAOにより、農村に関するさまざまな資産、活動、知的財産がトークン化されれば、それらが相互に交換可能になることが期待されます。

まとめ

地域の特産品をNFTとして販売する企業や自治体は増加傾向にありましたが、最近はそれだけでなく、農業DAOの活用により地方活性化を目指す企業や自治体も少しずつ増えてきています。国内において農業DAOの取り組みがどのように進められるのか、今後の動向に注目です。

今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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