NFT（非代替トークン）の人気の高まりを受けて、世界各国で次々と誕生するNFTマーケットプレイス。今回は、インド最大の暗号通貨取引所WazirXが立ち上げたマーケットプレイスをご紹介します。
WazirXマーケットプレイスとは
WazirXマーケットプレイスは、2021年4月に発表された新たなマーケットプレイスです。インドや南アジア諸国の人気写真家やアーティスト、2種類以上の素材・技法を用いるミクストメディアの専門家などによるアート作品を掲載しています。
NFT取引で使用されるブロックチェーンは、世界的に見るとイーサリアムが最も普及しているのが現状です。一方でWazirXマーケットプレイスでは、親会社である世界最大級の暗号通貨取引所Binance（バイナンス）のブロックチェーン「Binance Smart Chain（バイナンススマートチェーン）」を利用しており、バイナンススマートチェーンは高速取引と低い手数料を強みとしています。
NFT市場は2021年に入ってから急速な盛り上がりを見せており、2021年3月には、Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏の初めてのツイートが200万ドル（約2億1,900万円）で落札されました。2021年5月には、老舗オークションハウスのクリスティーズで行われたオークションで、インド出身のビグネシュ・スンダレサン氏がNFT作品を6,900万ドル以上（約75億円）で落札し話題を呼びました。
WazirXマーケットプレイスでは、10億の発行上限を持つプラットフォームWazirXのネイティブトークンであるWRXコインのみを使用でき、2021年7月時点で1WRXの価値は123円となっています。NFT販売価格の5%をサービス料としてWazirXが徴収し、残りの95%はクリエイターに配分されるとのことです。
WazirXの創業者であるNischal Shetty氏は、WazirXマーケットプレイスのローンチに伴いWRXのユースケースが追加され、WRXの国際的な拡大につながるとの見解を示したうえで、「このマーケットプレイスがどれだけうまくいくか、どのように採用されるかによって、WRXの価格にも影響が出ると考えています。しかし、長期的に見ると、トークンを複数の方法で使用できる方が有益なため、WRXのユースケースを追加することが何よりも重要です」と述べています。
WazirXベータ段階の制限
WazirXマーケットプレイスはベータ版が発表されており、現段階では「オークションモデル」ではなく、クリエイター自身が価格を決定したらそれ以降は変動しない「固定価格モデル」のみに制限されています。今後は、人気のアーティストやクリエイターにも参加してもらうため、「オークションモデル」も追加予定とのことです。
また、WazirXマーケットプレイスでは、作品の再販時にアーティストが最大15%のロイヤリティを得られます。一つのNFT作品から永続的に収益を得られることから、インドにとどまらず世界各地のアーティストが興味を示しているようです。
スポットライトカテゴリからの発見
WazirXマーケットプレイスでは、15人程度の人気アーティストやクリエイターの作品が「スポットライトカテゴリー」に表示されます。さらに、より多くのクリエイターの作品を閲覧できる「ディスカバータブ」も設置されています。
ベータ版では、100MBまでの画像・動画ファイルに対応しており、価格を含めた販売状況はアーティストが決定します。物理的なアート作品をもとにNFTを出品する場合、アート作品の物理的な販売とNFT取引を紐付けるオプションも用意されています。また、WazirXマーケットプレイス上でNFTを購入したコレクターに対して、5万WRXに相当する景品やキャッシュバックを提供することをWazirXは発表しました。
まとめ
次々とNFTマーケットプレイスが誕生するなかで、今回ご紹介したWazirXマーケットプレイスは、インド最大の暗号通貨取引所が運営しているということ、高速取引と低い手数料を強みとするバイナンススマートチェーンを使用していること、ロイヤルティが保証されていることなどが魅力といえるでしょう。固定価格モデルからオークションモデルに移行する方針も示しており、WazirXマーケットプレイスでNFTが高値で取引される日も近いかもしれません。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。
