昨今人気が集まっているメタバースとNFT。この2つを組み合わせて、仮想空間自体に価値を持たせることで、新しいビジネスが生まれています。この記事の前半では、次々と登場する新しいメタバースを紹介し、後半ではメタバースの「土地」にフォーカスした新しいビジネスの形に迫っていきます。
新しいメタバースが次々に登場!
旧Fecebookが社名をMeta(メタ)に変更したこともあり、急速に注目を集めたメタバースですが、新しいメタバースが次々に登場している状況です。
メタバースの人気が止まらない
メタバースの中でブランドの洋服を身につけたり、自身が所有しているNFTアートを展示する美術館を開いたりするなど、現実世界と同じような体験ができるメタバースの人気が高まっています。
事例の一つとして挙げられるのが、AIとAR技術を活用したソリューションサービスを提供し、美容業界とファッション業界でDXを奨励するパーフェクト株式会社の取り組み。同社は、デジタルアセットとしてメタバース空間で試着し、消費者に新しいショッピング体験をもたらすNFTコレクションを発表しました。
ユーザーはメイクや時計だけでなく、ジュエリー、メガネ、ネイルアートなどの様々なデジタルアセットをメタバース空間で試すことが可能。各デジタルアセットにはパーソナライゼーション要素も組み込まれているとのことです。
旅行もNFT
旅行業界でもNFTが活用されています。タイガービーイング社(Tiger Being)は、NFTを会員権とする旅行クラブをアジアで初めて立ち上げることを発表しました。
バーチャルとリアルの両方を融合させた体験を提供する意向で、会員権を持っていると、航空券やホテル、プライベートヨット、パーティーなど、会員限定の体験ができるようになるとのことです。
同社は3月31日から、ソラナ(Solana)のブロックチェーン経由で4,000以上のNFTコレクションの前売りを開始。同社のトークンの中には希少価値の高いものもあり、各トークンを組み合わせて会員ステータスをアップグレードすれば、より充実した体験が楽しめるようになるとしています。
最新のメタバースをご紹介
ここでは、これまでにはなかったような形でメタバースが活用されている事例や、芸能人とコラボした最新プロジェクトをご紹介します。
HEXA LANDの3Dメタバース空間「HEXAメタバース・ゲートウェイ」
日本円だけでNFTの発行や売買ができる日本初のNFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」を運営するメディアエクイティ株式会社は、HEXA LANDの3Dメタバース空間であるHEXAメタバース・ゲートウェイを発表しました。
HEXAメタバース・ゲートウェイは、HEXAのメタバース空間への橋渡しをするプロジェクト。メタバース上では現実世界と同様に土地や家、住民票があり、さらにはスタジアムの座席などもNFTを通じて所有権が生まれます。
また、HEXAメタバース・ゲートウェイのメタバース3D空間では、保有している3Dデータや画像データ、映像データ、音声データなどのNFTを飾ることができます。住民票NFTを保有していれば自分の家にNFTを飾って友達を招いたり、HEXA LAND NFTを持っていればLAND上に家を建てて多くのユーザーに認知してもらったりできます。
HEXAメタバース・ゲートウェイプロジェクトでは、これまでにHEXA住民票NFTを配布してきました。過去2回だけ短期間で受付が実施され、合計1万4,810人ものHEXA住民票が発行されたとのこと。住民票は無償で配布されましたが、住民票番号2番のNFTは、二次流通にて56万円で取引されたとしています。
日本発のメタバースNFT「Metaani」
NFTを用いたメタバース上でのサービス提供および商品企画を行う株式会社BeyondConceptは、メタバースNFTプロジェクト「Metaani×Kyary Pamyu Pamyu」を4月より始動することを発表しました。同プロジェクトは、「Metaani」と世界的に活躍するアーティストであるきゃりーぱみゅぱみゅのコラボレーションにより実現したものです。
「Metaani」は、クリプトアーティストのメタバース上でのデビューをサポートし、新しいWeb3.0時代のキャラクターを創出したいという想いのもと、2021年6月に誕生したキャラクター。クールなグラフィックアートをまとったネコやコアラなどのキャラクターたちがコミカルにダンスを踊る姿に人気が集まり、累計取引高は約1.3億円にものぼるとのことです。
同プロジェクトの詳細は次のとおりで、今後新たな企画も展開していく予定です。
- プロジェクトの第一弾として、「Metaani」とコラボしたきゃりーぱみゅぱみゅのオフィシャルダンスビデオを公開(4月中旬予定)
- オフィシャルダンスビデオで踊る「Metaani」の完全撮りおろしモーションの無料配布(4月中予定)
- きゃりーぱみゅぱみゅモデルの「Metaani」を限定500体販売(4月20日予定、「Metaani」所有者への先行発売あり)
メタバースの土地が巨大なNFTマーケットへ
NFTというと芸術作品のコレクションなどのイメージを持つかもしれませんが、NFTを活用すれば、メタバースの土地自体にも価値を持たせることができます。
NFTは芸術作品だけじゃない
NFTが芸術作品にとどまらないことを証明する事例として、大手企業がバーチャル空間の土地を購入したことが挙げられます。
ロンドンに本拠を置くメガバンクのHSBCと、ブロックチェーンやNFTを活用したプラットフォームの提供などを行うAnimoca Brandsの子会社、The Sandboxが連携することが発表されました。連携の目的の一つが、HSBCがThe Sandboxの仮想土地を取得することだとされています。
その他に、PwC香港がThe Sandboxの仮想土地をすでに取得したニュースも報じられています。取得された区画のサイズや価格などは非公開ですが、当時The Sandboxでは、1区画あたり1万ドル(約110万円)で販売されていたといいます。
The Sandboxは、NFTやメタバースを利用したブロックチェーンゲーム。プレイヤーは土地(LAND)を購入し、LANDで新たなゲームやジオラマをつくることができます。つくったゲームなどを販売することで、仮想通貨のSANDを稼げます。また、LANDでつくった施設を人に貸して不動産収入を得ることも可能です。もちろん、ほかのプレイヤーがつくった土地で遊んだり、探索したりして楽しむこともできます。
バーチャル空間を買う意味とは
このように大手企業がバーチャル空間を買う理由は、新規顧客の獲得や新規サービスの開発だけでなく、既存顧客に今までなかったような価値を提供することにもあるようです。
具体的には、手に入れたバーチャル空間に施設を建てたりして、その空間が顧客にとって魅力的であれば、集客につなげられます。さらに、バーチャル空間をイベント会社などに貸し出して収益化できる可能性もあるでしょう。
イベント会場もメタバース
実際に、イベント会場としてメタバースを活用する企業も増えてきています。株式会社HIKKYは、2021年12月にメタバース上で世界最大規模のVRイベント「バーチャルマーケット2021」を開催しました。
このイベントでは、コンビニ業界から株式会社ローソン、テレビ業界から株式会社テレビ朝日など、様々な業種の企業が出展。たとえばローソンでは、その場で撮影した写真でオリジナルパッケージにできる「オリジナルからあげクン」の制作や、セルフマシンで淹れたコーヒーをバーチャル空間で持ち運ぶことが出来る「セルフコーヒーマシン」の体験など、メタバースならではのコンテンツを楽しめるイベントとなっていました。
このように、NFTの特徴によってメタバースの土地自体に価値を持たせられるようになっています。メタバースの土地を活用し、その土地に建てた不動産を貸し出したり売買したりする動きが浸透すれば、NFTが次なる不動産になるかもしれません。
まとめ
NFTはアート作品やトレーディングカード、ゲームなどにとどまらず、仮想空間自体に価値を持たせる役割も果たしています。最近では、バーチャル空間を購入する大手企業があるほか、イベント会場にもメタバースが利用されており、今後NFTとメタバースによって新しいビジネスが確立される可能性もあるでしょう。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。