2021年から耳にする機会が多くなったNFTは、アートや音楽、スポーツなどの分野で活用されているイメージが強いかもしれません。しかし最近では、地方創生のためにNFTが活用される事例も増えてきています。
この記事では、地方創生にNFTを活用するメリットや課題などをご紹介します。
NFTとデジタル住民票の結びつき:その概念とメリット
地方創生におけるNFTの活用法のひとつとして、デジタル住民票をNFTとして発行する方法が挙げられます。ここでは、その概念やメリットを見ていきましょう。
現在の日本では、地方で過疎化が進み、地域の課題をそこに暮らす住民だけで解決するのが難しくなってきています。そんな中、地域のデジタル住民票をNFTとして発行することで、次のようなメリットが期待されています。
- 関係人口の拡大
- 財源の確保
「関係人口」とは、その地域に住んでいる“定住人口”でもなく、観光目的で訪れた“交流人口”でもない、地域とさまざまな形で関わる人のこと。
デジタル住民票をNFTとして発行することで、NFTを保有する人は、実際にその地域に住んでいなくても、地域づくりの担い手になることができます。
つまり、NFTの発行により関係人口が増え、その地域に暮らす住民だけでは解決できなかった問題を、解決に導けると考えられているのです。
また、デジタル住民票をNFTとして発行することで、自治体は販売したNFTによる財源を確保することもできます。住民票のデジタル化自体は従来の技術でも実現できましたが、住民票の発行による財源確保は、NFTなしでは実現できなかったでしょう。
デジタル住民票をNFTとして発行することで、地方創生を図っている自治体はすでに存在します。
新潟県長岡市の旧山古志村(山古志地域)では、2021年12月に世界で初めて、デジタル住民票をNFTとして発行しました。発行時点では人口800人、高齢化率55%超えの限界集落とされていましたが、その後、デジタル住民(関係人口)が1,000人を超えました。
地方創生の新たな方針:NFTを活用する理由と目的
自治体が地方創生にNFTを活用する理由として、先ほど紹介したような「関係人口の拡大」「財源の確保」といったものが挙げられます。
それだけでなく、NFTが持つ“唯一無二性”も、NFTが地方創生に活用される理由として考えられています。
NFTは改ざん不可能なブロックチェーン技術などを活用し、デジタルデータの唯一無二を証明できます。この性質が、「ご当地もの」「その地域ならではの体験」といった地域の唯一性と相性がよいと考えられているのです。
NFTによる地方創生の拡大と、それに伴う課題
デジタル住民票だけでなく、地域の風景やキャラクターなど特色を織り込んだアート作品をNFTとして販売し、地方創生を図る自治体も存在。
また、ふるさと納税の返礼品としてNFTを用意し、NFT購入者だけに特産品の獲得権を付与する取り組みも見られます。
このようにさまざまな方法でNFTが活用されていますが、そこには課題もあります。
それは、「特定の地域のNFTを所有することによって、その地域に関わる一員としての自覚を持てるかどうか」という点です。
NFTは人気や希少性の高まりによって、所有していることがステータスとなり、コレクション・投資目的で手に入れる方も少なくありません。しかし、地方創生という観点で見ると、コレクションとしてではなく「いかに地域と深い関わりを持ってもらうか」が重要となります。
地域の一員として活動してもらうためには、NFT所有者が地域の取り組みに参加したくなるような、地域側による話題提供やインセンティブの付与などの施策が必要となるでしょう。
まとめ
地方創生にNFTを活用している自治体はすでにいくつも存在し、実際に地域課題の解決につながった自治体もあります。成功例もあることから、今後もNFTを活用する自治体は増えていくでしょう。
NFTを耳にする機会が増えたものの、まだまだ生活に馴染んだコンテンツとはいえません。自治体によるNFTの活用が推し進められれば、近い将来、生活の中でNFTが当たり前のコンテンツとなっているかもしれません。
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