今、NFTをふるさと納税の返礼品に採用する自治体が増えています。この記事では、NFTとふるさと納税との相性や、地域の特性を生かしたNFTについて解説します。
NFTはふるさと納税との相性も良い?
スマートニュースの子会社であるスマニューラボは11月24日、NFTとふるさと納税を融合させた新たなサービス「Tales & Tokens(テイルズ・アンド・トークンズ)」を発表しました。
「Tales & Tokens」では、地名や民話、伝説、産業文化などの無形資源「コミュニティ資源」を事業者が可視化し、人々に感動を与えるデジタルコンテンツとしてユーザーに提供。ユーザーは、ふるさと納税やNFTマーケットプレイス「OpenSea」を通じて、ゲームのキャラクターやアイテムなど、NFTコレクションを取得できます。専用Webアプリを通じて、NFTコレクションのカスタマイズや他のユーザーとの交換も可能です。
今回のサービスリリースにあわせて、岩手県遠野市では10月27日から「Tales & Tokens」初のプロジェクト『Game of the Lotus 遠野幻蓮譚(GOTL)』のNFTゲームを提供しています。
同プロジェクトは、柳田國男の『遠野物語』などに採話されている神話をもとに企画・開発したもので、3人の娘をモデルにした3種類のキャラクターNFTを、ふるさと納税の返礼品として提供します。
具体的には、ふるさと納税で5万円を寄付すると、NFTアートであるキャラクターが1体もらえます。キャラクターの表情や服装、アイテムなどは、好みに合わせてカスタマイズすることが可能です。
『Game of the Lotus 遠野幻蓮譚(GOTL)』では、自治体の提携先施設に設置されているQRコードを読み込むと、新たなアイテムをもらうこともできます。返礼品をもらった後も、寄付先の自治体を実際に訪ねたくなる仕組みをつくることで、地域振興につなげる狙いです。
また、第2弾のプロジェクトとして、新潟県の燕三条エリアのコミュニティ資源である「ものづくり」をテーマに、NFTゲームの開発が決定しました。NFTは、新潟県三条市と燕市の両市において、ふるさと納税の返礼品としても提供する予定です。
このように、NFTとふるさと納税の両方の特性を生かしたサービスが誕生しています。
地域の特色を生かしたコンテンツも登場している
ふるさと納税ではすでにいくつものNFTが返礼品として提供されていますが、その中には地域の特性を生かしたものもあります。ここでは、3つの事例を見ていきましょう。
【北海道 余市町】受付開始からわずか3分で完売
北海道・余市町は、NFTアートを返礼品にする取り組みを早い段階で始めた自治体の一つです。人気キャラクター「CryptoNinja(クリプトニンジャ)」とコラボしたイラストが、3万円を寄付すると1枚受け取れます。10月末には、受付開始からわずか3分ほどで、用意された222枚すべてに寄付が集まりました。
クリプトニンジャはもともと人気のキャラクターですが、返礼品としての人気をさらに後押ししたのが、イラストに描かれている余市町特産のワインです。余市町のワインは、アメリカやフランスなどの海外から問い合わせが来るほどの人気ぶりで、現在は抽選で当たった人しか買うことができません。
余市町ではNFTをはじめとするさまざまな取り組みによって、ふるさと納税による税収が12倍に増加しました。
【大阪府 太子町・京都府 長岡京市など】共同で提供するNFTふるさと納税
大阪府太子町と京都府長岡京市、国内最大級のNFTプロジェクト「CryptoNinja Partners(以下、CNP)」、NFTによる地方創生を推進する株式会社あるやうむがコラボし、ふるさと納税の返礼品を共同で提供しています。
返礼品として用意されたNFT「太子町ふるさとCNP2022」「長岡京市ふるさとCNP2022」は、それぞれ11月25日から寄付受付を開始しました。開始から3〜4分ほどで、計444個すべての返礼品に対して寄付が集まりました。
今回のプロジェクトは、第1弾となった北海道の「余市町ふるさとCNP2022」に続き、第2弾として関西2自治体で同時リリースしました。
用意されたNFTはアートとして楽しめるだけでなく、保有者特典が付与されています。大阪府太子町では、古代の石器に使われた岩石「サヌカイト」を数量限定で配布。
京都府長岡京市では、市内の特別なスポットで貴重な体験をする権利の付与を予定しています。また、返礼品として受け取ったNFTを持ってそれぞれの自治体を訪れることで、NFTの柄が変化する仕掛けも実装予定です。
続々と登場している地域NFT
上記のほかにも、地域NFTが続々と登場しています。ここでは、3つの地域NFTを見ていきましょう。
【兵庫県 加西市】CryptoSpellsで使えるNFT
兵庫県加西市は、ウォレット・イーサリアムなしで遊べるブロックチェーンカードゲーム「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」で使えるカードをNFTとして提供しています。
クリプトスペルズで使えるカードには、「文明」「コスト」「レアリティ」「種類」「種族」の要素があり、さまざまな種類のカードが存在します。その中で、今回用意されたカードは、クリプトスペルズの公式twitterで能力を募集したものになっています。
今回用意されたカード名は「北条鉄道自転車ニキ」、レアリティは「ゴールド」、カード種類は「ユニット」、文明は「白」、種族は「フェアリー」、コスト/攻撃力/体力は「2/2/2」などと設定されてます。カードのイラストは、やしろあずき先生書き下ろしとなっています。
【北海道上士幌町】300機のクリスマスドローンショー映像のNFTアート
北海道上士幌町では、300機のクリスマスドローンショー映像のNFTアートを返礼品として提供しています。このクリスマスドローンショーは、2021年12月に上士幌町で実施された日本最大級のドローンショーで、映像は8分程度にまとめられています。
購入した返礼品は、NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」内でデジタルデータとして送付されます。
【長崎県佐世保市】豚のオーナー権NFT+精肉おまかせセット
長野県佐世保市では、「豚のオーナー権NFT+精肉おまかせセット」を提供しています。
NFTは、子豚のオーナー権をNFT化したもので、成長を約1年見守り、食べるまでを体験できます。精肉おまかせセットでは、ロース、肩ロース、バラ、モモ、ヒレ、スペアリブ、ミンチの中から2種類以上をランダムで組み合わせて届けてくれます。
まとめ
ふるさと納税の返礼品として用意されたNFTの中には、受付開始からわずか数分で完売するものもあるなど、大きな注目を集めています。地域の特色を生かしたNFTを提供することで、その地域に観光客を呼びこむことや地域の特産品を購入してもらうことにもつながるため、NFTをふるさと納税の返礼品として提供する自治体は今後も増えていく可能性があります。
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