フランスの高級ファッションブランドであるルイ・ヴィトンは8月4日、スマートフォン向けNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)ゲーム「LOUIS THE GAME」をリリースしました。この記事では、ルイ・ヴィトンがNFTゲーム市場に参入した理由や、LOUIS THE GAMEの特徴を解説します。
ルイ・ヴィトンがなぜNFTゲームに参入したのか
そもそも、ルイ・ヴィトンがNFTゲーム市場に参入した理由は何なのでしょうか。ルイ・ヴィトンによると、同ブランドの創業者であるルイ氏の生誕200周年を世界的に祝うプロジェクト「LOUIS 200」の一環で「LOUIS THE GAME」をリリースし、NFTゲーム市場に参入したとしています。
ルイ氏の生誕を祝うプロジェクト「LOUIS 200」とは
1821年8月4日に誕生したルイ氏はルイ・ヴィトンの創業者であるだけでなく、冒険家、起業家、デザイナー、イノベーターとしても活躍しました。ルイ氏の生誕を祝うプロジェクト「LOUIS 200」は、ルイ氏が後世に残したものを、世界中のクリエイターとのコラボなどを通して表現するものです。「LOUIS 200」では、NFTゲーム「LOUIS THE GAME」のほかにも、次のようなプログラムを計画・実施しています。
- ルイ・ヴィトンを象徴するようなトランクをコンテナに見立て、ルイ氏独自の世界観を表現するウィンドウ・ディスプレイ。世界の200人のクリエイターとのコラボで実現
- 世界的に有名な美術家であるアレックス・カッツ氏が描く、ルイ氏の三連画
- フランスの作家であるキャロリーヌ・ボングラン氏が、ルイ氏の人生について綴ったフィクション小説
- 後世に残る遺産を残した若き先駆者ルイ氏の人生に光を当て、ルイ氏の生き様を思い返す史上初のドキュメンタリー『LOOKING FOR LOUIS(ルイを探して)』

ルイ・ヴィトンは、上記のようなさまざまなプログラムを2021年末まで展開する予定です。
中身は宝を探すアクションゲーム?
それでは、NFTゲーム「LOUIS THE GAME」はどのようなゲームなのでしょうか。LOUIS THE GAMEは、ブランドのマスコットとして愛されるヴィヴィエンヌが、ルイ氏の生誕を祝う目的地を目指して旅するストーリーです。

LOUIS THE GAMEには6つのステージが存在
高度なアニメーションとルイ・ヴィトンの伝統を融合させたこのゲームでは、時を超えて存在する以下の6つのステージを舞台に、アクション満載の冒険が繰り広げられるとしています。各ステージはパリ、ニューヨーク、ロンドン、北京などをイメージしました。
- LOUIS FOREST (ルイの森)
- LUMINOUS CITY (光の街)
- ADVENTURE KINGDOM (アドベンチャー王国)
- MONOGRAM ISLAND (モノグラム・アイランド)
- SUNSHINE METROPOLIS (サンシャイン・メトロポリス)
- BIRTHDAY EXTRAVAGANZA (バースデーの祭典)
たとえば、最初のステージ「LOUIS FOREST (ルイの森)」ではヴィヴィエンヌがキャンドルを収集しながら森の中を冒険します。6つのステージに合計200本あるキャンドルを1本集めるごとにカードが現れ、ルイ・ヴィトンの技術面のトリビアやこれまでのコラボ、ヴィトン家の歴史など、ルイ・ヴィトンに関わるさまざまなストーリーが語られるとのことです。各ステージでキャンドルが必要数揃うと、次のステージに進むための鍵を獲得できるとしています。
また、グローバルなスコアボードでは、プレイヤー同士で競い合ったり、ルイ・ヴィトンが独自で作成した12種類のファッションから好きなものを選び、ヴィヴィエンヌの着せ替えをして披露したりできるとのこと。LOUIS THE GAMEには、ヒーリング効果のあるBGMや壮大な景色グラフィック、ヴィヴィエンヌの可愛らしい仕草など、高級ファッションブランドであるルイ・ヴィトンならではの工夫も施されています。
全部で30のNFT作品を用意
最新のブロックチェーン技術を採用したLOUIS THE GAMEには、全部で30のNFT作品があるとのこと。LOUIS THE GAMEは、この数少ないNFT作品を宝と捉え、宝を探すアクションゲームといえるかもしれません。LOUIS THE GAMEの全ステージをクリアした一部のユーザーからは、「NFTの所有権を獲得するための抽選に申し込める」との声も。ただ、リリース直後のため、NFTを獲得するまでの詳しい経緯はまだ明らかになっていません。
NFTゲーム「LOUIS THE GAME」は、8月4日からApple StoreとGoogle Playからダウンロード可能です。2021年8月時点では、英語と中国語のみに対応しています。
デジタルアーティスト「Beeple」のNFTも隠されている
ルイ・ヴィトンによると、30あるNFT作品のうち、10作品はデジタルアーティスト「Beeple(ビープル)」のものであるとのことです。BeepleはNFTアート業界を牽引するといわれている人物。Beepleが手掛けた画像のコラージュ「Everydays – The First 5000 Days」は2021年3月に大手オークションハウスのクリスティーズで出品され、6,930万ドル(約75億円)で落札されたことでNFT業界にその名を響かせました。Beepleの作品はこれまで、100ドル以上で販売されたことはなかったですが、この落札によって最も価値のある現存アーティスト3人のうちの1人になったといわれています。
ルイ・ヴィトンとBeepleのコラボは今回が初めてではありません。2019春夏ウィメンズ・コレクションにて、フランスのファッションデザイナーでルイ・ヴィトンのクリエイティブ・ディレクターを務めるニコラ・ジェスキエール氏とBeepleが初タッグを組み、実物のアート作品をもとにプリントを制作しました。さらに、世界各地の店舗のウィンドウ・ディスプレイ用の動画も制作したということです。
まとめ
デジタルカードやゲーム内アイテムだけでなく、さまざまなコンテンツがNFTとして取引されるようになっていますが、ファッションアイテムもその一つです。ファッション業界ではこれまでにも、NFTブランド「RTFKT(アーティファクト)」のNFTスニーカーコレクションが310万ドル(約3億4,000万円)で落札されるなど、話題となっていました。
そして今回、高級ファッションブランドであるルイ・ヴィトンによるNFTゲームがリリースされました。同時期にバーバリーもNFTのリリースを発表しており、高級ファッションブランドのNFTが増加していくかもしれません。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。