NFTを分割所有するプロジェクトが続々登場!ピカソの絵画からマンションまでNFTトークン化

NFTを分割所有するプロジェクトが続々登場!ピカソの絵画からマンションまでNFTトークン化

2021年に入ってから急速に人気を集めているNFT(Non-Fungible Token:ノンファンジブル・トークン、非代替性トークン)は、所有証明書付きのデジタルデータであることに加え、一般的には分割できない点が大きな特徴です。しかし最近では、その概念を覆す「NFTを分割所有するプロジェクト」が続々と登場しています。

この記事ではNFTを分割所有する発想について解説し、実際にNFTを分割所有するプロジェクトをご紹介します。

NFTを分割所有するという発想

NFTプラットフォームのSZNS(シーズンズ)は9月9日、400万ドル(約4億4,000万円)の資金調達をしたことを発表しました。SZNSでは、ユーザーが「アルバム」と呼ばれるNFTコレクションを作成し、新しい機能の開発やプロジェクトの運用に関する決定に影響を与えられる投票機能が付与されている「ガバナンストークン」として分割。ガバナンストークンを自律分散型組織(DAO:Decentralized Autonomous Organization)で所有・管理できます。DAOとは、資産を共有するインターネットコミュニティのようなものです。

出典:SZNS公式サイト

現在、NFT市場にはさまざまな分割化サービスが存在しますが、SZNSのアルバムは将来的にNFTを担保にしたり、資金の使い方の投票に使えるようになる可能性があるとされています。それでは、そもそもNFTを分割して所有するという発想はどのようなことなのでしょうか。NFTを分割所有するほかの2つの事例も見ていきましょう。

ピカソの絵画の所有権を分割所有

スイスの仮想通貨銀行であるシグナムは2021年7月、アート投資企業のアルテムンディと提携し、パブロ・ピカソの絵画『ベレー帽の少女』の所有権を分割所有できるようにすることを発表しました。1964年に制作されたこの作品は、鮮やかな色の服を着てベレー帽を被った子どもが描かれており、2016年に最後に売却されたときの価格は248万ドル(約2億7,000万円)でした。

現在368万ドル(約4億円)の価値があるとされるピカソの絵画『ベレー帽の少女』の所有権を表す株式は、トークン化されてブロックチェーン技術を介して発行され、1株6,000ドル(約65万円)で提供するとしています。これにより、さまざまな投資家がNFTアート作品を所有できるようになるとのことです。また、実物の絵画は売却されず、展示目的で美術館へ貸し出されていないときは、高度なセキュリティの整った施設で保管される予定です。

現時点では、高度な知識を持つ投資家や機関投資家だけがシグナム銀行を通してこのNFTアートを購入できるとしています。シグナム銀行のデジタル資産取引プラットフォーム「SygnEx」で二次流通もされる予定です。取引ではシグナム銀行のステーブルコインであるDCHFを使い、スイスの法定通貨フラン(CHF)で決済されます。なお、絵画の分割所有権はスイスの法律で認められています。

特許を分割所有するためのトークン化

分散型NFT取引所のIPSwapは2021年8月、推定500億円の価値とされる知的財産特許をブロックチェーン上でNFT化し、分割所有できるようにすることを発表しました。分割トークンは、ブロックチェーン技術を介して発行されて5万枚に分割されるため、1枚あたり100万円の価値として提供されます。これにより、幅広い投資家がこの知財特許を資産として保有できるようになるとのことです。

発行枚数は5万枚に限定されていますが、分割所有できることから、たとえば0.1枚といった単位で保有することも可能になるのが特徴です。この分割トークンを入手するには、IPSwapのガバナンストークンであるIPSトークンが必要となります。

中国のDODO NETが実施するNFTの分割販売

中国企業もNFTの分割所有に関するサービスを展開しています。NFTの分割販売を行っている中国企業のDODO NETは、NFTマーケットプレイス上にNFTを登録すると、フラクショナルNFTを利用することでより少額での売買ができることを公表しました。フラクショナルNFTは、日本では分散型取引所と呼ばれることもあるDEXと組み合わせて運用されることが多く、投資の一種のような扱いもされています。

フラクショナルNFTとは

そもそもフラクショナルNFTとは、一つのNFTを複数の人が所有できるNFTのこと。フラクショナルNFTを使用すれば、極めて高い価値のあるNFTアートを分割し、多くの人が所有できるようになります。そうすることで、NFTの流動性を高めて価値を上げられるとも考えられています。

フラクショナルNFTは株式証券と同じような仕組みになるため、技術的な問題ではなく国ごとの法律の違いから、一般的に利用されるまでに一定の時間がかかるのではないかと懸念されている現状もあるようです。

不動産を分割所有するプロジェクト「blocksquare」

NFTを分割する分野は、アート作品や特許にとどまりません。「blocksquare」は、現実世界にある不動産をNFT化し、blocksquareのブロックチェーンに接続した人なら誰でも不動産のNFTを売買できるようになるプロジェクトです。blocksquareのブロックチェーンでNFT化した不動産は、仮想通貨(暗号資産)の新規発行による資金調達方法の一つである「ICO」で発行したBSTトークンを使用して売買されます。これにより、多くのユーザーが不動産を分割所有できるようになり、不動産の流用性も高められると考えられています。

ただ、実物の不動産を最初にNFT化する際の価値を決めたり、実物の不動産の所有者が確実に変わったことを証明したりするときに、現時点では中間業者や監査業者が必要になります。このように、ブロックチェーンでの不動産取引ではいくつかの懸念事項もあるようです。

NFTを分散化するUnicly

Uniclyは、1日約250万ドル(約2億7,000万円、2021年6月現在)を扱う世界最大のNFTマーケットプレイスで、コミュニティおよびコレクターがNFTを分割することを可能にします。Uniclyプロトコル上で最大のコミュニティであるJenny Metaverse DAOを創設したベンジャミン・ラモー氏は、金融的な観点から見た場合にNFTにできることは何もないとしたうえで、1兆ドル規模の資産をサポートするNFTのインフラを整備する必要があるとしています。そして、NFTインフラを整備するには、NFTを分散化させなくてはならないとの見解を示しました。

出典:Unicly公式サイト

NFTの分散化が進むことで本質的なものが満たされ、単にNFT取引をできるだけではなく、NFTを利用してステーキングや担保など、人々がDeFiで行っているようなことがすべて実現できるとしています。そして今後は、分散化されたブロックチェーン上に多くのものが構築されていくと想定しているとのことです。

まとめ

これまでは、NFTは基本的に分割できないという考え方が浸透していましたが、今回ご紹介したようにNFTを分割所有する取り組みが見られるようになりました。NFTの分割所有により、さまざまな人にNFTを所有してもらうことができ、流動性を高められると期待されています。今後多くの国でNFTの分割所有が認められれば、このような形のNFT取引が当たり前になる日が来るかもしれません。

今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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