NFTマーケットプレイスでは、アート作品やトレーディングカード、ゲーム内アイテム、不動産、音楽など、さまざまなNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)が取引されています。そんななか、最近ではSNSの投稿もNFT化して販売しようとする動きが見られます。
今回は、SNSに投稿した写真をNFTで販売するために実施されているテストや、すでに利用が開始しているSNSを活用したNFTプロジェクトを紹介します。
SNSに投稿した写真をNFTで販売する
SNSに投稿した写真をNFTで販売するための取り組みを実施しているのが、写真SNSアプリ「Dispo(ディスポ)」です。Dispoは2021年2月頃から注目を集めており、使い捨てカメラのような写真を撮って共有できる点を特徴としています。
アプリのリリース後には1週間で100万回以上ダウンロードされ、App Storeのチャートで1位を獲得しました。なお、リリース当初は招待制でしたが、2021年3月からは招待なしでiPhoneユーザーであれば誰でも利用できるようになっています。
Dispoが販売テストを実施
DispoによるNFTの取り組みはまだ初期段階ですが、写真をNFTとして販売することに対するユーザーの関心を記録するためのテストを、9月13日より開始しました。このテストでは、アプリ内の一部のユーザーに対して自分の写真を販売するための「Sell(販売)」ボタンが表示され、このボタンをタップすると、実際にNFT販売機能が導入された場合に通知を受けるためのユーザー登録ができるとのことです。
現時点ではDispoがどのような NFTマーケットプレイスと提携し、どのブロックチェーンを使用するのかなどの詳細は明らかになっていないようですが、このテストを通してどれほどのユーザーが登録をするのかが期待されます。
SNSを活用したNFTプロジェクト
SNSでNFTを販売するためのテストにとどまらず、SNSを活用したNFT プロジェクトがすでに実施されています。今回は、日本国内の2つの事例を見ていきましょう。
インフルエンサー支援サービス「HEXA(ヘキサ)」
メディアエクイティ株式会社は5月15日、インフルエンサー支援サービス「HEXA(ヘキサ)」をリリースしました。同社はITツールなどを提供する企業。HEXAでは、インフルエンサーの何気ない普段のSNS投稿をNFTとして簡単に発行し、販売できるとしています。
HEXAリリースの背景には、コロナ禍でインフルエンサーのイベント開催や物品販売の機会が失われたことがあるようです。インフルエンサーが厳しい状況に置かれるなかで、既存のSNSの投稿を新たな時間やコスト負担なくNFTとして発行してファンに販売することで、インフルエンサーの収益化を支援でき、将来さらに人気になる可能性に着目して応援してくれる新たなファンの獲得につながるとしています。加えて、ファンが応援したインフルエンサーがより人気になれば、所有しているNFTの価値が上昇し、ファンの資産形成にもつながるとの考えを示しました。
HEXAの仕組み(出典:メディアエクイティ株式会社)
HEXAでNFTを発行するには、アカウント認証のための申請が必要になりますが、発行手数料はかかりません。インフルエンサーや事務所に所属している人であれば誰でも、費用ゼロでNFTの販売により収益を得ることが可能になります。
NFTマーケットプレイス「Buynet(バイネット)」
NFTマーケットプレイス「Buynet(バイネット)」を運営するサンシェアは、SNS無料PR拡散デジタル会員権「My Stock」の販売を9月14日から開始しました。My Stockは、SNSの拡散力を価値と位置づけ、株式の概念を取り入れたもの。会員権を所有しているユーザーのSNSでの投稿が、インフルエンサーにより半永久的に無料でPR拡散して貰える仕組みとなっています。
My Stockの販売を開始した背景として、これまでSNSの拡散⼒に価値を置いた権利の売却は困難であったことがあるとしています。そこで同社は、SNSインフルエンサーが自身の拡散力を限定価格5,000円より販売できるようにしました。
インフルエンサーおよびユーザーの目線から見ると、My Stockには次のような特徴があるとしています。
・インフルエンサー目線
自身の拡散力を増やすことでNFTデジタル会員権の価値を高め、権利金収入を得られるようになる。さらに、インフルエンサーがオリジナルの会員権を発行できる機能も備えている。
・ユーザー目線
NFTデジタル会員権を購入することでインフルエンサーへの依頼権を得られる。この会員権はサービスの途中で販売することもできるが、NFTを所有する限り永久に無料で商品紹介などを依頼できる。インフルエンサーのフォロワーやいいねが増えることにより、NFTデジタル会員権の資産価値も上昇傾向になる。
SNSを活用したNFTの販売はこれから盛り上がるのか
それでは、SNSを活用したNFTの販売はこれから盛り上がるのでしょうか。現時点ではプロジェクト数がまだ少ないですが、大手SNSもNFT事業を運営する動きを見せており、盛り上がる可能性はあるといえるでしょう。
NFT機能を追加する動きを見せている大手SNSの一つがツイッターです。ツイッターのリアルタイム音声会話機能「Twitterスペース」や、暗号資産(仮想通貨)およびNFTに関するサービスに携わるソフトウェアエンジニアは9月30日、NFTの認証機能をテストしていることを報告する動画を公開しました。
まだテスト段階であり、フィードバックやアイデアを募集しているとソフトウェアエンジニアはツイートしました。今回公開された動画では、アプリのプロフィール編集画面からアイコンを変更しようとすると、これまでの「写真から選択」だけでなく「NFTを選択」も表示されるようになっています。
「NFTを選択」を選ぶとウォレットを選択する画面が表示され、コインベースやメタマスクなどのウォレットを選べます。その後アドレスの認証が行われ、無事認証されれば所有しているNFT が表示され、選んだ NFTがプロフィールのアイコンに適用される仕組みとなっています。
フェイスブックも、同社が開発しているデジタルウォレット「Novi」にNFT機能を実装する意向を示しています。両社共に現段階では、アプリ内の投稿自体を収益化する機能が追加されるかどうかは明らかになっていませんが、大手SNSがNFT業界に参入することで、より多くの人に利用してもらうきっかけとなるでしょう。
まとめ
これまでSNSでは、多くのフォロワーを持つクリエイターは企業などと提携して収益などを発生させることが一般的で、投稿した写真などのコンテンツ自体から収益が発生することはあまりありませんでした。今回紹介したようなSNSを活用したNFTプロジェクトが増え、収益化ツールとして定着していくのかに注目です!
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。