イーサリアムが抱えるスケーラビリティ問題(ユーザー過多による手数料高騰や処理遅延)を解決するためにつくられたプロジェクト「Polygon」が、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)マーケットプレイスColexionに非公開の投資を行いました。
この記事では、今回の投資によりNFTがどのように利用されるのか、Polygon以外にどのような企業がNFTマーケットプレイスに投資しているのかをご紹介します。
投資目的以外のNFTの利用方法
そもそもColexionは、スポーツやエンタメ、アート、ライフスタイルのカテゴリーでNFTマーケットプレイスを立ち上げてきました。これらNFTマーケットプレイスには、各業界の世界的な著名人も参加しています。
今回Polygonは、投資目的以外のNFTの利用方法に可能性を見出し、Colexionに投資したようです。投資の一環として、Polygonは独自のデジタルツールを展開し、インドにおけるNFTの普及を促進する意向です。
安全なインフラとしてのNFT
今回の投資により、NFTが安全なインフラとして機能するとのこと。具体的には、NFT取引のための高度なダッシュボードやツールが提供されるほか、アーティストやタレントがファンやNFT収集家と交流できる、信頼性のあるプラットフォームが提供されるとしています。
本物と偽物を区別できるようになる
また、NFTの持つ「所有権の証明」や「唯一無二性の証明」といった特性により、作品が本物か偽物かを区別できるようになり、盗難や偽造のない作品取引も可能になるとしています。
そのほかにもPolygonは、スケーラブルな分散型アプリケーションを作成するためのツールを提供するとのこと。これにより、プラットフォームのパフォーマンスとユーザー体験に焦点を当てながら、セキュリティ上の懸念を解決していくことで、開発者の多様な需要に応えていく意向です。
トークンエコノミー
NFTの存在によりトークンエコノミーが確立することが期待されている点も、企業やPolygonのようなプロジェクトがNFTマーケットプレイスに投資する理由の一つです。トークンエコノミーが確立するとはどういうことなのか、また確立によってどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
新たな経済圏の確立
そもそもトークンエコノミーとは、「トークン」と呼ばれる代替貨幣を用いた経済圏のこと。従来の社会では、「日本円」の例にあるように、国や政府が発行した法定通貨を利用することで経済圏が確立していました。一方でトークンエコノミーは、特定のサービス事業者が代替貨幣としてトークンを発行し、そのトークンを使うことで新たな経済圏が確立します。
しかし2017年頃には、代替紙幣を発行して資金を集める企業や個人が増え、問題となりました。こうした実態の伴わない代替紙幣ではなく、作品に紐付いたNFTを発行して取引アが活発になることで、新しい経済圏としてトークンエコノミーが発展していくことが期待されているのです。
個人間取引の活発化に貢献
トークンエコノミーは、個人間取引の活発化に貢献するのではないかとも言われています。というのも現在、後払い制度が一般的なサービスなどにおいては、料金を払わない人がいるリスクを考慮して中間業者が個人間に入り、業者がリスクを負う代わりにサービス全体の料金が高くなっている場合があります。
このような場合に、専用トークンの決済を取り入れることで中間業者は入る必要がなくなり、料金を安くすることが可能になります。現在、専用トークンによる決済の仕組みの構築において課題があるため、この課題を解決するための取り組みが実施されているようです。
NFTマーケットプレイスへの投資も活発に
Polygonのほかにも、NFTマーケットプレイスやNFTスタジオに投資する企業が増加傾向にあります。ここでは2つの事例を見ていきましょう。
サザビーズ
世界最大のオークションハウスであるサザビーズは10月、NFTマーケットプレイスの構築や管理を手がけるNFTスタジオ「Mojito(モヒート)」への2,000万ドル(約23億円)のシードラウンド投資に参加しました。
モヒートは新たな資金を、eBayやアマゾンのようなプラットフォームとは異なる特徴を持つ、ブランドに特化したNFTマーケットプレイスの拡大に向けての提携パートナーの獲得に使うとしています。デジタルデータが勢いを増していくなかで、サザビーズは、NFTが普及することに賭け、同社としては初めて暗号資産関連企業に投資したとのことです。
米大手ベンチャーキャピタルのa16z
米シリコンバレーの最高峰のベンチャーキャピタルとされるa16zは3月に、NFTマーケットプレイス「OpenSea」の出資ラウンドをリードすることが分かりました。出資規模は2,000万ドルで、a16z以外にも出資企業がいますが、具体的な情報は明かされていないようです。
a16zはこれまで、暗号資産取引所Coinbaseや、NBA Top Shotなどの人気NFTを発行するDapperなど、仮想通貨関連投資の実績が多数あります。そんなa16zが今回、Openseaに投資することから、シリコンバレーがNFT業界に着目し始めた兆しとされています。
まとめ
PolygonがNFTマーケットプレイスに投資したことで、投資目的としてNFTを利用するのではなく、NFTが安全なインフラとして機能したり、作品が本物か偽物か見極める手段としての役割を果たしたりできるようになると考えられています。Polygon以外にもNFTマーケットプレイスに投資する企業は増加傾向にあり、NFTマーケットプレイスが今後ますます盛り上がっていくのか、注目です!
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