10月26日、正規でないNFTを購入してしまうことなどによる消費者被害を防ぐためのウォレット・コントラクト認定事業「一般社団法人JCBI(ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアチブ)」が発足しました。正規NFTを認定することでどのような効果が得られるのでしょうか。
JCBIが社団法人に
JCBIは昨年2月、7社による企業連合として発足し、日本のメディア・コンテンツ産業の成長のための公益活動を幅広く行ってきました。現在では会員企業は23社にまで増加し。このほど更に活動を拡大するため、あらためて一般社団法人として設立されたものです。
不正なNFTが存在している
正規でないNFT? と疑問を持たれた読者もいるかもしれません。
NFTといえば、ブロックチェーンによって技術的にその唯一無二の真作性が保障されているもの。だからこそ「無限にコピー可能ゆえに希少価値を獲得できない」というデジタルデータの弱点を補い、デジタルアートやゲームデータなどの経済的価値を高める新技術として注目されていたはずだからです。
それなのに正規でないNFTがあるから、正規のNFTの認定事業ができる?
ですが、残念ながら不正なNFTは存在します。
確かにNFTは、仮想通貨と同じブロックチェーン技術が使われているため、過去の全ての譲渡経緯が分散的に記録されます。そのためデータをコピーして二重譲渡などをしようとしても、どの取引経緯が正しいか多数決的に判断され、問題が起きないようになっています。
しかしブロックチェーン技術が保障するのはその譲渡経緯であって、ある芸術作品がNFT化された時、それが正規の権利者によって適法に行われたかどうかまでを保障することはできません。
他人の作品を勝手にNFT化している事例も
悪質な業者は、違法に入手した作品を勝手にNFTに登録して売りさばくことがあります。きわめて悪質な例として、若くして病気で亡くなったアーティストの作品を、亡くなってまもなく無断でNFT化して売りさばいていた業者さえいます。
また、様々なブロックチェーン関連メディアが繰り返し注意を促してはいるのですが、NFTとしての購入はその作品の著作権の取得を意味しません。それをよく理解していない人物が「自分が所有者だからいいじゃないか」と、違法にコピーした作品をNFT化して販売することもあります。
現在、NFTマーケットプレイスの各運営企業はそれぞれに策定したルールとシステムで出品可能な業者やアーティストを定めていますが、マーケットプレイス側がその出品したアーティスト本人の作品かどうかなどを確実に確認しているとは言い切れない状況です。。
そのためせっかく購入したNFTの権利を失うということもありえるのです。
JCBIの認定のしくみ
CBIの認定事業の仕組みは、本質的には意外とシンプルです。
一言で言えば、「JCBIに認められた企業を通したNFTかどうかを確認する」という仕組みです。
企業はJCBIに所定の審査料を支払い、ウォレット・コントラクト関連情報などの認定申請情報を提出します。認定が通ると、その企業はJCBIの正規ウォレット・コントラクト認定パートナーとなり、JCBI公式ウェブサイトにある情報公開ページで、認定企業のウォレット・コントラクトアドレスが公示されます。
その後は、認定を通った事業者にJCBIから正規のウォレット・コントラクトアドレスが提供され、マーケットプレイス内のその事業者のNFT販売ページに認定マークを表示できるようになります。
2021年10月までの時点で「Coincheck NFT」「HABET」「NFTStudio」のマーケットプレイスがJCBI正規ウォレット・コントラクト認定パートナーになっています。
まとめ
これまでのNFT売買は、真正が保障されているのがNFTの流通段階のみであることから、やはり偽作や違法出品の可能性がありました。しかしJCBI認定事業者が増加していくことで、今後はNFTの安全性が高まっていき、一般にも広まっていく可能性が大きいと言えるでしょう。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社にぜひご連絡ください。