NFTの規制が各国でどのように進むのか。世界のNFT規制を解説します

NFTの規制が各国でどのように進むのか。世界のNFT規制を解説します

NFTにおける知的財産の侵害や詐欺などへの懸念から、世界各国で規制が加速しています。ただ、規制の方針は国によって大きく異なる状況です。この記事では、各国の規制の詳細に加え、疑問視されているNFT取引の事例を解説します。

NFT規制が加速している

ここでは、米国とヨーロッパ、日本において、それぞれどのように規制が検討・策定されているのかをご紹介します。

米国の規制について

2021年にNFTの人気が急速に高まって以来、米国では、複数の州や連邦政府機関から、規制に対する厳しい目が向けられているようです。なぜなら、現行の規制や法的環境は、NFTやその他のデジタル資産の作成や取引を管理できるように設計されていないからです。

そこでホワイトハウスは、暗号通貨やデジタル資産によるチャンスとリスクを評価する政府の包括的戦略を発表。同戦略は、NFTの規制を定義するための第一歩であると考えられています。

州単位での取り組みに着目すると、ワシントンと49の州では、暗号通貨とデジタル資産に関する規制が少なくとも1つ提案もしくは制定されているとのことです。34州が、NFTやその他のデジタル資産から税収入を得ることを定めた税制を提案もしくは制定しました。

その他にも、ライセンス要件に関する法案などを提案または制定した州がありますが、規制は州ごとに異なり一貫性はない状況のようです。

ヨーロッパの規制について

欧州委員会は2020年に、分散型台帳技術の合理化、暗号通貨、仮想資産の規制などのデジタル資産への法的確実性を確保するため、新たな規制「Markets-in-Crypto Assets (MiCA)」を提案しました。MiCAでは「暗号資産」という単語を用いて広く定義されているため、NFTにも規定が適用されると考えられます。

国単位で見ていくと、EU加盟国のなかには、NFTに特化した規制を制定している国もあります。たとえばルクセンブルクは、NFTを「電子マネー」「金融商品」「合同運用型ファンド」の3カテゴリーに分類し、それぞれ独自の規制を制定しました。

日本の規制について

NFTの機能や用途は様々であることから、日本では現在、NFTを含むデジタルトークンの法的位置付けは、それらの機能に応じて以下の5つに分類されています。

1.暗号資産
2.前払式支払手段
3.為替取引
4.ポイント
5.有価証券

たとえば、決済手段としての機能を持ち、ブロックチェーンなどを通じてユーザー間で移転できる仕組みを有していれば、「暗号資産」として資金決済法で規制される可能性が高いと考えられます。デジタルトークンに社債や株式などに関する権利を表彰すれば、有価証券として金商法で規制される可能性が高くなります。

また、自民党のデジタル社会推進本部のプロジェクトチームは3月末、新しいデジタル社会の実現に向けた提言をまとめました。同提言では、NFTなどを活用した新しいデジタル社会について、日本は規制が足かせになって必ず乗り遅れると危機感を表明。

さらに、NFTをはじめとしたデジタル資産や技術を活用したビジネスの創出に向け、司令塔となる担当相を設置することや、NFTを発行する際の審査基準の緩和、消費者保護策などを求めました。

中国におけるNFT規制

中国はNFTを全面的に禁止していることで知られていますが、規制当局は現在、NFTの作成や使用、取引を管理する規則を策定中と報じられています。

WeChatのNFT規制

テンセントが運営するSNSアプリ「WeChat(微信)」も、NFTアートを規制しています。同アプリでは中国の関連法規にもとづき、「数字蔵品(デジタルコレクション)」の投機的な売買や二次販売をした公式アカウントとミニプログラムに対する規制措置を講じました。中国では投機目的の売買が禁じられていることが背景にあるようです。

現時点でミニプログラムではデジタルコレクションの販売や転売などはできず、展示とプレゼントのみが許可されています。デジタルコレクションの展示を行う公式アカウントには、国家インターネット情報弁公室が認可・登録したブロックチェーン企業と提携したことを示す証明書などの提出などが求められます。また、迂回といった手段による違反行為が発覚した場合、アカウント機能停止やアカウント削除といったペナルティが与えられる可能性もあるとのことです。

NFTにもインサイダー取引がある?

最近では、株式ならぬNFTでのインサイダー取引も懸念されています。ここでは、仏LVMHのベルナール・アルノー会長の息子アレクサンドル・アルノー氏によるNFT取引の事例をご紹介します。

2022年2月にアレクサンドル氏は、NFTマーケットプレイスOpenSeaにて、HypeBearと呼ばれるカラフルなクマのアートを落札しました。HypeBearのコレクションは1万点にもおよびますが、アレクサンドル氏は最も希少である9021番を、ほかのHypeBearの価格より32%高い価格で入札して落札。同じく希少性の高い7777番も58%高い価格で入札しました。

しかしアレクサンドル氏が入札したのは、クマの詳細情報が公開されていない時期だったとのこと。入札した2日後に、1万体のクマの詳細が明らかになったのです。その後アレクサンドル氏は、9021番を1万4700ドルで売却して約1万1600ドルの利益を、7777番も売却して約9000ドルの利益を得ました。

アレクサンドル氏がクマの内部情報を持っていたかどうかは明らかになっていませんが、詳細情報が公開されていない段階で希少性の高いNFTを複数落札して利益を得たことから、インサイダー取引を匂わせるような行為として疑問視されているのです。ただ、NFTは株式とは異なり、現時点では明確な規制がない状況です。

まとめ

NFTの人気が急速に高まり、ビジネス機会が増えると同時に、知的財産の侵害や詐欺などの危険性が高まっていることも事実です。そのため、各国政府による規制は今後も強化されていくと予想されます。

今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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