NFTで所有権の分散所有は広がるのか?登記とは違った新しい所有権の持ち方とは

NFTで所有権の分散所有は広がるのか?登記とは違った新しい所有権の持ち方とは

デジタルデータの著作権や所有権を証明するためのツールとして、さまざまな分野で活用されてきたNFTですが、所有権を“分散所有”するためにNFTを使う事例も増えています。

この記事では、実際にどのような分野で使われているのか、さらに分散所有によるメリットなどを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

土地や建物を分散所有するということ

メタバース上の土地や建物をNFTとして取引する事例は多いですが、そうした不動産を小口化して分散所有できるようにすることで、より多くの人が気軽に購入・投資できると考えられています。

メタバース上では、分散所有する土地に建物を建築してショップなどを運営したり、建物を貸し出して収益化することも可能。メタバース上の不動産が値上がりすれば、売却してキャピタルゲインも得られるなど、幅広く活用できます。

ゲームの中にあるデジタル土地とは異なるリアル土地を所有

メタバースやゲームの中にあるデジタル土地だけでなく、リアルな土地をNFTの活用により分散所有する事例も増えています。

これまでの不動産取引は、誰かがまとまった資金で購入するものでした。しかし、現実世界と紐づけたNFT不動産では、トークン化して分割することで、多くの人が購入できるようになり資産の流動性が高まると考えられています。

さらに、NFT不動産ではこれまでの不動産で必要だった登記は不要です。今後法整備が整えば登記が必要になる可能性もゼロではありませんが、登記がいらない現実では、スピーディーな取引がメリットといえるでしょう。

NFTなら別荘を所有することも可能

NFTなら、別荘をこれまでよりも手軽に所有することも可能です。

それを実現したのが、『ホテルにもできる別荘を買おう』をコンセプトに設計された新しい暮らしを提供する「NOT A HOTEL」。

NOT A HOTELの特徴は以下のとおりです。

  • 年間10泊から、ライフスタイルに合わせて別荘としての購入が可能
  • 別荘として利用しない日は、自動的にホテル運営されて収益になる
  • 別荘のオーナーは、自身が所有する利用可能日数を使用し、ほかのNOT A HOTELにも泊まれる

2022年6月には、NOT A HOTELの宿泊権と、イベント参加できる特典を合わせた会員権「NOT A HOTEL NFT」が発表されました。

このNFTを所有していると、宿泊の3カ月前に、NOT A HOTELの鍵の役割を果たすNFT「THE KEY」がエアドロップされる仕組みとなっていました。

また、NFTを保有することで毎年宿泊でき、Membership NFTを保有していれば、47年間この仕組みが続きます。宿泊スケジュールが合わなければ、二次流通市場においてThe Keyを売却することもでき、従来の会員制ホテルにはなかったメリットといえるでしょう。

アートの所有権もNFTで

アートの分散所有も、NFTにより実現しています。

それを実現したプラットフォームの一つが、アートの分散型保有権をNFT化したプラットフォーム「STRAYM」です。

STRAYMでは2022年10月に大幅なアップデートを実施。アップデートに伴い、自ら開発するブロックチェーン・スマートコントラクト「Fractional STRAYM Ownership Protocol(FSOP)」によって、分割オーナー権証明書をNFT化。これにより、複数のオーナーに所有権を分散できるようになりました。

これまでは人気NFTの価格は高騰する傾向にありましたが、分割所有できることで、一人あたりの購入価格が抑えられるとしています。

さらに、STRAYMでは、アート作品の維持管理にかかるコストをプラットフォーム側が負担してくれます。

お酒もNFTで所有権を購入できる

アートだけでなく、お酒もNFTで所有権を購入できるようにする取り組みが進められています。ここでは、3つの事例を見ていきましょう。

沖縄の百貨店を持つリウボウグループ、NFTを活用してお酒の所有権を販売

沖縄唯一の百貨店を持つリウボウグループは6月、NFTを活用し、泡盛やアセロラの木の所有権と生産過程の見学ツアーをセットで売り出すことを発表。

名産品や観光資源の付加価値を高め、沖縄ファンの獲得につなげるとしています。

NFTマーケットプレイス「HINATA」で熟成酒NFTの取引が開始

株式会社FUWARIが運営するNFTマーケットプレイス「HINATA」は3月、熟成酒NFTの取引を開始することを発表しました。

この取り組みの特徴は、以下のとおりです。

  • 自分で保管・管理することなく、熟成酒を保有できる
  • 保有している熟成酒NFTを使って引き換え手続きすれば、実際の熟成酒も手に入れて飲める
  • NFTの二次流通が開始した際は、保有権付きのNFTとして売買できる

お酒は基本的に酒蔵が保管し、実際にお酒を飲みたいときは、本物のお酒を手元に送ってもらえる仕組みは、今までにあまりなかったNFTの活用方法といえるでしょう。

ウイスキーを小口にしたNFTを販売

ウイスキーなどの蒸留酒の所有権をNFTで管理するWebサービスを展開する株式会社UniCaskは、樽のウイスキーを小口に分割したNFTを販売しました。

小口に分割した背景として、個人の場合は、ひと樽単位だと金額が高く手が出せないことが多いことが挙げられます。そこで同社は、100分の1樽の単位でNFTを提供したところ、9分で完売するなど注目を集めています。

まとめ

不動産やアート、お酒などのさまざまな分野で、分散所有のためのツールとしてNFTが活用されています。これまでは投資・購入対象となる商品が高額で、実際に手に入れられる人が限られていた分野においてNFTを活用すれば、多くの人が分散所有できるようになり、資産の流動性が高まっていくかもしれません。

今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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