ここ1年ほどでNFT価格は下落傾向にあり、とくに7月に入ってからは、大幅に下落したニュースが話題になっています。この記事では、NFT価格の下落度合いや、下落した要因、クリエイターへの影響などを解説します。
ブロックチェーン技術を用いた非代替可能なトークン(NFT)の概要
最初に、ブロックチェーン技術を用いた非代替可能なトークン(NFT)がこれまでどのように使われてきたかを整理していきましょう。
NFTはアート作品や音楽、ゲームなどの分野で活用されてきました。
アート分野での活用方法
アート作品においては、デジタルアート作品をNFT化することで、現実世界に存在するアート作品と同じように売買できるようになりました。それまでデジタルアート作品は、その真正性を証明するのが難しかったですが、NFTを活用することで、見えない「証明書」を付随させ、唯一無二性を保証できるようになったのです。
音楽分野での活用方法
音楽NFTについては、デジタル音源を持ってさえいれば、誰でも音楽をNFT化できます。作成した音楽NFTは、NFTマーケットプレイスで価格を自由に決めて販売することが可能。NFTマーケットプレイスによっては、プラットフォームが認めるアーティストでなければNFTの販売ができないこともあるものの、アーティストでなくても収益化できる方法が確立されたことで注目されました。
ゲーム分野での活用方法
ゲームにおいては、ゲーム内のキャラクターやアイテムをNFTとして取引するシステムが主流となっています。NFTを購入したあとに必要性を感じなくなったときは、二次流通市場で販売して、ゲームに注ぎこんだお金を回収することもできる仕組みです。
このようにさまざまな分野で活用されてきたNFTですが、価格が下落に転じています。
NFT価格の具体的な下落の度合いを解説
ここでは、NFT価格がどれほど下落したのか、具体的にNFTプロジェクトを例に挙げながら解説していきます。
アニメアート系の人気NFTプロジェクト「Azuki」の最低購入価格は、7月4日までの1週間で60%余り下落しました。
アズキでは6月末に新コレクション「Azuki Elementals」を発表。しかし、2022年にリリースされたアズキのコレクションと類似していると、コミュニティ内で混乱が生じています。
この混乱が、NFT価格に影響を与えたと考えられています。
ほかにも、有名なNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」「Mutant Ape Yacht Club(MAYC)」「Pudgy Penguins」などの価格が14〜31%下落しました。
こうした有名コレクションが下落した要因の一つとして、NFTの価値をめぐる投資家の疑念が広がったことも指摘されています。
下落市場における投資家・クリエイター・一般消費者への影響や反応
NFT価格が下落したことによって、投資家・クリエイター・一般消費者にはどのような影響が及んだ、もしくはどのような反応を見せたのでしょうか。
投資家については、全体として、価格の下落にそこまで動じていない状況です。NFT価格が今後長期的に下落していくと予想する投資家もいれば、価格が回復していくと予想し投資の好機だと考える投資家もいるようです。
クリエイターについては、十分な収益を得られない状況に直面しています。今回のNFT価格下落との直接的な因果関係は、まだ明らかになっていませんが、NFTから得られるロイヤリティが過去2年間で最低水準に達したのです。ロイヤリティとは、クリエイターが作成したNFT作品が転売されることで、二次流通での手数料が得られる仕組みを指します。
一般消費者にも影響が出ています。実際に、登録者150万超のYouTuberが興味本意でNFTアートを519万円ほどで購入したところ、一気に下落して64万円ほどになってしまった事例があります。このように、NFT価格の下落の影響を受けた一般消費者は少なくないでしょう。
まとめ
価格が下落しているNFT市場ですが、投資家や企業からまだまだ注目を集めているのも事実です。
たとえば、仮想通貨懐疑論者のピーター・シフ氏は5月末に、ビットコインのブロックチェーン上のNFT「オーディナルズ」を通じて、NFTプロジェクトを立ち上げました。
また、価格が大暴落した後も、市場に大量のNFTを放出し続けている有名企業が数多く存在します。
こうした状況を踏まえると、今後もNFT価格が下落し続けるというわけではなく、回復する可能性もあるでしょう。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。