NFTがたった4文字のテキストに3,000万円の価値をつけるのは何故か。NFTバブルはいつまで続く?

NFTがたった4文字のテキストに3,000万円の価値をつけるのは何故か。NFTバブルはいつまで続く?

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)ブームが続くなか、2020年におけるNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)への投資額は前年比299%増となり、2021年に入ってもその勢いは増しています。NFTバブルともいえるこの状況は、一体いつまで続くのでしょうか?

本記事では、そもそもNFTに高値がつく理由や、これまでに高値がついたNFTの事例、そして今後のNFT市場について解説します。

NFTになぜ高値がつくのか

そもそも、なぜNFTに高値がつく場合があるのでしょうか。その理由として、NFTの希少性が挙げられます。

希少なデータが価値を持つ

NFTとして取引されるものはさまざまで、デジタルアートやトレーディングカード、バーチャル不動産、キャラクター、音楽、デジタルファッションアイテムなどがその例です。これらのNFTはいずれも唯一無二性があり、一般的には複製したり分割したりできません。

こうした特徴を持つことから、NFTの需要が高いほど希少性も高まり、高値がつくことになるのです。つまり、需要と供給のバランスが、NFTに高値がつく原理といえるでしょう。高値がつきやすい例として、コレクション要素が高いブランドのNFTが挙げられます。

コレクション要素が高いブランドのNFT

今回は、知名度の高いブランドなどが運営する4つのNFT事業を見ていきましょう。

・ナイキ
アメリカのシューズ・スポーツ用品ブランドのナイキは2020年12月、イーサリアムのブロックチェーンで同社の靴をトークン化する特許を取得しました。今回特許を取得した背景には、世界中でナイキをはじめとする人気スニーカーが高値で取引されているものの、そのなかには偽物が多く含まれていることがあるといわれています。そこで靴をトークン化することで、靴の購入者が所有者IDとトークンIDをリンクさせて靴の所有権を取得し、ナイキ製品である真正性の証明と、偽物の流通の防止につながるとのことです。

「CryptoKicks」と呼ばれるこれらのトークンは、靴のデザインなどをNFTとして取引でき、ほかのブロックチェーンゲームに「CryptoKicks」をインポートすればゲーム内アイテムとして利用できるとしています。さらに、デジタルシューズを収集するゲームや、デザインを融合させて子孫を残すなど、さまざまな用途での利用も期待されています。

・ルイ・ヴィトン
フランスの高級ファッションブランドであるルイ・ヴィトンは8月4日、スマートフォン向けNFTゲーム「LOUIS THE GAME」をリリースしました。LOUIS THE GAMEは、ブランドのマスコットとして愛されるヴィヴィエンヌが、ルイ氏の生誕を祝う目的地を目指して旅するストーリーとなっており、全部で30のNFT作品が用意されています。

出典:LOUIS THE GAME公式サイト

また、プレイヤー同士で競い合ったり、ルイ・ヴィトンが独自で作成した12種類のファッションから好きなものを選び、ヴィヴィエンヌの着せ替えをして披露したりできるとのこと。ヒーリング効果のあるBGMや壮大な景色グラフィック、ヴィヴィエンヌの可愛らしい仕草など、高級ファッションブランドであるルイ・ヴィトンならではの工夫も施されています。

・バーバリー
ルイ・ヴィトンと同時期に、バーバリーはNFTゲームのスタートアップ企業であるミシカル・ゲームズ(Mythical Games)と提携し、初のNFTコレクションを発表しました。ブロックチェーン上に存在するデジタルトイ「ブランコス(Blankos)」を使ったゲーム「ブランコス・ブロック・パーティー(Blankos Block Party)」のなかで、「Bシリーズ(B Series)」と名付けられたNFTコレクションが購入できるようになっています。

・NBA
NBA選手の試合のハイライトをNFTとして所有できる「NBA Top Shot」は、NFT関連企業のDapper Labsが手掛けるNFTコレクションゲームで、世界で最も人気のあるNFTコレクションゲームの一つです。NBA Top Shotでは独自のイベントやキャンペーンを実施しているほか、これまでにプロバスケットボール選手のレブロン・ジェームズ氏がスラムダンクを決めるハイライトが20万8,000ドル(約2,300万円)の高値で落札されるなど、話題を呼んでいます。

出典:NBA Top Shot公式サイト

NFTはどんなデータでも高値がつく?

コレクション要素が高いブランドのNFTは高値で取引される傾向がありますが、高値がつくのはそれだけではありません。大手企業のCEOなど、影響力のある人物がNFTを出品した場合も、高値で取引されることがあります。

たとえば、米ツイッターのCEO(最高経営責任者)であるジャック・ドーシー氏が2006年3月に投稿した最初のツイートは、250万ドル(約2億7,000万円)で落札されました。

ジャック・ドーシー氏の最初のツイート

そのほかにも、仮想通貨取引所のFTX Internationalの創設者兼CEOであるサム・バンクマンフリード氏がデジタルツールを使って「Test」と4文字で綴ったNFTは、27万ドル(約3,000万円)で購入されました。バンクマンフリード氏の保有資産は100億ドル以上ともいわれており、影響力のある人物のNFTに高値がつくことがうかがえます。

高値で売買されている一般の人のNFT

ブランドや影響力のある人物が出品するNFTだけが高値で売買されるわけではなく、一般の人が出品したNFTに高値がつく場合もあります。その例として挙げられるのが、ビープル(Beeple)として知られるアーティストのNFT作品「Everydays – The First 5000 Days」です。

このNFTを3月11日にイギリスの老舗オークションハウスのクリスティーズで出品したところ、6,900万ドル(約75億円)で落札されました。ビープル氏の作品はこれまで、100ドル以上で売れたことはありませんでしたが、この落札で最も価値のある現存アーティスト3人のうちの1人になりました。

子どもが描いた絵が数百万円の価値に

子どもが描いた絵のNFTが高値で取引されたこともあります。小学3年生の通称「Zombie Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)」くんは、夏休みの自由研究として、虫や動物の絵を掛け合わせたピクセルアートを出品。

その後、300万人フォロワーを誇るDJリル・ミケーラ(Lil Miquela)氏のプロデューサーであるTrevor McFedries氏がこのピクセルアートを購入し、SNSで拡散したことで広く知られるようになりました。その後は一気に落札が増え、OpenSeaでは、これまでに出品しているNFT48点の合計の取引高が2021年9月時点で9.9ETH(約380万円)となったようです。

NFTバブルはいつまで続くのか

2021年に入って一層盛り上がりを見せるNFT市場ですが、いくつかの課題もあります。現在、NFTの多くがイーサリアム上で発行されていますが、イーサリアム上では、ネットワークが混雑してトランザクションの遅延が起きる「スケーラビリティ問題」が発生しており、これにより取引手数料(通称ガス代)が高騰傾向にあるのです。そして、ガス代が高騰しているタイミングでは、NFTの販売量が減少傾向にあることもわかっています。

もちろん、NFT取引にはメリットもあり、たとえばコロナ禍で大幅に収入が減ったアーティストの重要な収入源となっている事例があります。コンテンツの作者や所有者、取引履歴などを証明できるNFTは、作品の知的所有権を保護する目的でも利用されています。NFTを一過性のブームで終わらせないためには、このようなメリットを活かしながら、スケーラビリティおよびガス代など、NFT市場が抱える課題を解決する必要があるでしょう。

まとめ

NFTバブルといえるこの状況がずっと続くとは限らず、解決する必要のある課題も存在します。ただ、NFTを購入することで、特定のコミュニティに参加したり特定のコンテンツにアクセスしたりできるなど、投資対象にとどまらないNFT取引の価値を見出すことで、NFTの可能性は広がるでしょう。

今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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