熱狂する「NFT」は、日本ビジネスを救うか?暗号資産の光と影を徹底解説します!

熱狂する「NFT」は、日本ビジネスを救うか?暗号資産の光と影を徹底解説します!

ブロックチェーン技術を使った暗号資産、「NFT(非代替トークン)」。コロナ渦での東京オリンピック実施に意見が割れるなか、IOC(国際オリンピック委員会)は、北京オリンピックに向けたオリンピック・ピンバッジとゲームを組み合わせたNFTサービスを発売します。世界に誇るテクノポップユニットPerfumeもまた、初のNFTアートをセールス。NFT関連ビジネスが高まりをみせますが、Twitter創業者の初ツィートが3億円超えで取引されるなど、仮想空間上のデジタルコンテンツに大金が動いています。NFTとは何か?基礎知識から、国内と海外の事例よりNFTの光と闇を徹底解説します。

話題の「NFT」ってなに?デジタルデータに大金が動く!

NFTとは、英語のNon-Fungible Token(非代替トークン)の頭文字からなる言葉。簡単に言えば、ビットコインなどにも利用されるブロックチェーン技術を応用して、デジタルデータであるアート作品やゲーム、漫画、その他収集品を暗号資産に変える仕組みです。ブロックチェーン技術とは言うなれば、取引をまとめた暗号台帳のこと。これにより、複製や偽造を防いで高い安全性を保ちます。つまり、NFTというプラットフォームを利用することで、仮想空間にあるデジタルコンテンツでも、真正性とレア度を兼ねた、検証可能な暗号資産に変えることが出来るのです。

誰でも見られ、スキャンすら可能なツィートも暗号資産にすれば、3億円超えで落札。

バーチャルな世界にしか存在しないものにも価値が与えられるNFT。そこでは、誰でも見られて、スキャンや印刷だって出来るデジタルコンテンツやアートに大金が動いています

挿入写真キャプション:落札後もこの通り、誰でも見たり、スキャンしたりも出来る。

例えば、547.9万人のTwitterフォロワー(※)を持つ、米TwitterとSquare CEOのジャック・ドーシー。彼は、「Valuables」というNFT市場で、自身の初ツィートをオークションに出品しました。なんとその落札額、291万5835ドル(約3億1640万円)! NFTという仕組みを利用したことで、単なるツィートに億単位のお金が支払われたのです。さらにはデジタルアーティスト、ビープルのNFTアート作品「The First 5000 Days」に至っては、クリスティーズで、約75億円で落札されました。

(※)2021年6月14日現在

参考:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2104/06/news061.html?fbclid=IwAR35t2XSnjLaqXrqEe-kjQxJc9RuVsh2a-bg899GzITlGt0ub8Np025x3GM

NFTはデジタルコンテンツの救世主?IOCやPerfumeなど大手も続々参入!

NFT上では、購入した人物がデジタルコンテンツの “所有権”を持つことになります。たとえデジタル上で見たり、飾ったりすることを他の人とシェアしても、NFT上のオーナーは所有者のみ。そこに価値があると見なします。また、所有権は転売出来るので、NFTマーケットの動きに応じて買ったよりも高く売ることで、大きな利益が得られる可能性もあります。

そこで肝になるのが、どれだけ多くの人がNFTに関心と信頼を寄せているかということ。テクノロジーに精通するギークの世界だけで熱いなら、馬鹿げているという向きもあるでしょう。ここで注目なのが、今年に入って、IOC(国際オリンピック連盟)という世界的組織やPerfumeなどの有名アーティストなどが続々、NFTビジネスに参入する動きです。

IOCは、ピンバッチとゲームのNFTを販売。

例えば、IOCは、中国・香港を拠点とするブロックチェーンゲーム開発会社アニモカブランド(Animoca Brands)の子会社、nWayとNFTのオリンピック・ピンバッジとビデオゲームを組み合わせた新サービスを開始すると発表。最初のセットは、nWayPlay.com上で、6月17日(現地時間)より、配信・発売予定です。

IOCの公式ホームページによると、以下の3つの方法で手に入れることができます。

(1)nWayPlay.comでパックを購入する。

(2)nWayPlay Marketplaceで他のコレクターから特定のピンを直接購入する。

(3)2022年冬季オリンピック北京大会に向けて開始されるnWayPlayに接続されたリアルタイムのオリンピックをテーマにした対戦型ビデオゲームをプレイし、無料で獲得する。

参考:https://olympics.com/ioc/news/officially-licensed-olympic-nft-pins-announced

Perfumeは、NFTアートをリリースする。

日本が誇るテクノポップユニットPerfumeもまた、初のNFTアート「Imaginary Museum “Time Warp”(仮想美術館“タイムワープ”の意)」を「NFT Experiment」よりリリース。パフォーマンスの振り付けから、メンバー3人の象徴的なポーズを3Dデータ化した作品をデジタルアートとして販売します。

参考:https://www.perfume-web.jp/news/detail.php?id=3644

盗難の問題や環境負荷、NFTが抱える2大課題という闇。

メジャーな組織が参入し、デジタルコンテンツに大きなお金が動く可能性もあるため、これからのビジネスとして注目されるNFT。マンガやアニメなど、世界を誇るデジタルコンテンツを持つ日本にとって、その存在は、大きなビジネスチャンスになるでしょう。売り手としても買い手としても、NFT取引について検討してみたいところです。

そこで事前に知っておきたいのが、NFTが抱える2つの問題点です。

ひとつめは、デジタルコンテンツの作者でなくても、トークンをつけることで誰でも自分のものだと主張できるという可能性。現段階では、出所が不確かなものも紛れ込んでいます。

例えば、Twitterで活発に作品公開する新進気鋭のデジタルアーティスト、コービン・レインボルト氏。少なくとも彼の2作品が同意なしにNFTとして販売されていたと言います。そこで彼は、最近制作した作品のほとんどをTwitterから削除し、再び盗まれないように透かしを入れて再投稿しています。

ブロックチェーン上で記録されるNFTの取引ですが、実名や身分証明書を明らかにすることは必須として要求されません。そのため盗難品が交わされる恐れがあります。ブロックチェーンの台帳は不変であり、それを管理する中央機関も存在せず、すべての取引は事実上永続的です。それは事実上の窃盗でも同じ。

利用規約として、著作権侵害の疑いを訴える機会は設けられますが、IOCやPerfumeのような正式な商標がない場合には、誰かよりもインターネット上で何かを作ったと証明するのは難しいでしょう。

また、NFT自体が盗まれる可能性もあります。元CIAのプロハッカーで、オバマ大統領下でサイバーセキュリティを担当していたエリック・コール氏。彼は、「NFTにもブロックチェーンにも、盗難から守るものは(現段階では)なにもない」と断言しています。

二番目は、環境への負担という問題です。ブロックチェーンを通じてNFTを取引する際には、大量の電力が使われます。つまり、たくさんの二酸化炭素も排出されます。SDGs(持続可能な開発目標)からみた、三方よしなビジネスの価値観とは反する一面があるのです。そこで、多くのアーティストたちが、NFTが抱える高いエコロジーコストに警鐘を鳴らし始めているというのも事実です。

参考:https://edition.cnn.com/2021/03/30/tech/nft-hacking-theft-environment-concerns/index.html

闇を光に変える工夫やガイドラインも。NFTの波をうまく乗るポイントは?

NFTに限らず、新しいプラットフォームはどんなものであれ、初期の段階が一番甘くなります。そこで、NFT熱が高まり、大手組織より一般ユーザー向けの商品が販売されているのは、良い兆しです。より一般化することで課題も浮き彫りになり、安心で安全なものへと発展していくでしょう。4月26日には、日本暗号資産ビジネス協会が動き、NFT関連ビジネスを検討する事業者たちに向けて、ガイドラインを公表しました。

参考:https://cryptocurrency-association.org/nft_guideline/

ユーザーとしては、盗難品の売買に巻き込まれないように、確かな所有者と取引する。NFTのプラットフォーム上では、2ファクタ認証を有効にし、パスワードは再使用しないなどの対策を徹底しておきたいものです。

環境問題に関しても工夫が見られる商品もあります。例えば、PerfumeのNFTアートには、環境負荷を小さくしたポリゴン(カクカクした多面でなる3Dデータ)を採用。このように持続可能な社会に配慮したNFT商品をつくる、また選ぶことを取引の付加価値としたり、購入の判断基準に入れたりするのも手です。参考:https://www.perfume-web.jp/news/detail.php?id=3644

仮想空間と現実が融合する時代。NFTの動きは、日本経済を左右する!

AI(人工知能)の自動制御も増え、新型コロナウィルスの影響もあって、ヴァーチャルとリアルな世界の境界がますます薄れています。それに伴って、デジタルコンテンツの需要も加速。そこに颯爽と現れたNFT。IOC(国際オリンピック委員会)や世界に誇るテクノポップユニットPerfumeもNFT商品の販売を開始します。仮想空間にとどまらず、リアルな形で日本経済を冷え込みから救う可能性も秘めています。熱狂するNFTの動き、今後も要チェックです!

NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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