日本初!シヤチハタが「NFT印鑑」の開発へ。NFTを生かして脱はんこが浸透するのか

日本初!シヤチハタが「NFT印鑑」の開発へ。NFTを生かして脱はんこが浸透するのか

はんこの老舗メーカーであるシヤチハタは、日本初となる「NFT印鑑」を開発することを発表しました。NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を活用することで、果たして脱はんこが浸透することになるのでしょうか?

この記事では、シヤチハタが発表したNFT印鑑の特徴や、これまでに国内外企業が展開してきたデジタル印鑑サービスをご紹介します。

デジタル印鑑の次はNFT印鑑が登場

日本で昔から行われてきた紙に捺印する行為を電子化して、電子文書に捺印できる「デジタル印鑑(電子印鑑)」がすでに珍しいものではなくなってきた一方で、今後はNFT印鑑が登場するようです。

シヤチハタは8月18日、ブロックチェーンやAI関連のコンサルティングを行う株式会社ケンタウロスワークスと、リーガルサービスを提供する早稲田リーガルコモンズ法律事務所と共同で、ブロックチェーンを活用した「NFT印鑑」を開発することを発表しました。

そもそもNFTとは、ブロックチェーン技術を活用することで改ざんができないようになっているデジタルデータのこと。この特性を生かしたNFT印鑑には、次の3つの特徴があるとしています。

1.利用者本人の識別・証明が可能

これまでの電子契約サービスでは、書類に印影が表示されない場合もあり、書類が締結済みか分からないというデジタル時代特有の悩みが生じていた。そのため、押印の痕跡が一目で分かる機能や、押印者の本人性を証明する機能を備えた「デジタル時代の新たな印影(印鑑)」の需要が高まっている。

印影データをNFT化して押印者情報とデジタル印鑑を結び付けることで、NFT印鑑が押印された電子文書には、印鑑保有者およびNFT化された印影の情報が刻印される。押印の記録は改ざんできないブロックチェーンに記録されるため、「いつ、誰が、何に押印したのか」という証拠を確実に残せる。

NFT印鑑によって押印された印影をクリックした際に表示される画面のイメージ(出典:シヤチハタ)

2.ブロックチェーンの技術による高い信頼性の実現

印影のNFT化にあたり、シヤチハタとケンタウロスワークスが加盟する「ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアチブ(Japan Contents Blockchain Initiative:JCBI)」が運営管理する、自立分散型で高い信頼性が担保されたコンソーシアム型ブロックチェーンチェーンを利用する。

JCBIのコンソーシアム型ブロックチェーンのイメージ(出典:シヤチハタ)

JCBIは、電通や博報堂、朝日新聞などがブロックチェーン技術を活用し、日本のコンテンツの著作権保護と流通拡大を目指して共同で運営している。JCBIにより、印鑑管理で必須となる高度なセキュリティに配慮しつつ、信頼性を確保できる。

3.プロセスを変えないDXで、電子決裁のプラットフォームへ

今後は、さまざまな電子契約システムにおいて共通して利用可能な、NFT印鑑API連携サービスの提供を予定。これにより、自社と取引先で互いに別々の電子契約システムを利用している場合の不便をなくし、どんなシーンでもNFT印鑑を使って電子決裁ができる未来を実現する。具体的な利用シーンとしては、企業だけでなくDXの普及が今後見込まれる行政・自治体への展開を想定。

現在のデジタル印鑑サービス

ブロックチェーン技術を活用することで、デジタル印鑑とは異なる特徴を持つNFT印鑑ですが、そもそも現在どのようなデジタル印鑑サービスがあるのでしょうか。ここでは、国内外で多くのユーザーに利用されている4つのサービスを見ていきましょう。

クラウドサイン

クラウドサインは、契約締結から契約書管理まで可能なクラウド型の電子契約サービス。さまざまな外部サービスと連携でき、大企業からベンチャー企業まで30万社以上の企業や自治体に活用されています。紙と印鑑をクラウドに置き換えることで、押印しなくても、送信者が送ったPDFファイルに受信者が確認・同意することにより、合意締結が成立します。

NINJA SIGN

NINJA SIGNは、弁護士監修の電子契約システム。電子締結の際は印鑑不要で署名でき、契約書を契約先へメールで送信。印刷・製本・郵送など、これまでの契約に必要だったあらゆる業務負担とコストを大幅に削減できます。

GMOサイン

GMOサインは、31万社以上の事業者に利用されている電子契約サービス。電子署名は、メール認証などのシステムログを利用する「電子署名」と、本人確認済みの電子証明書を利用する「身元確認済み 高度電子署名」の2タイプに大別されます。さらに、自社は「実印タイプ」で、相手は「契約印タイプ」で署名するという2タイプを組み合わせた「ハイブリッド署名」も可能。電子署名により押印業務を効率化します。

ドキュサイン

ドキュサインは、国内外の100万社以上、10億人以上のユーザーに利用されている電子署名・電子契約サービス。フォーチュン500のテクノロジー企業トップ15社のうち、13社がドキュサインを利用しており、特に海外で圧倒的な認知度を誇るサービスといえるでしょう。

契約書作成・署名・実行・管理を含むすべての契約プロセスの効率化が目指せるほか、脱はんこやペーパレス化、BCP対策にもなります。豊富なAPIにより、BoxやSharepoint、Salesforceなど、350以上の外部システムとの連携が可能です。

NFT印鑑は将来のビジネスに活用されるのか

今回発表されたNFT印鑑は、押印された印影から押印者を証明できます。加えて、従来のデジタル印鑑が抱えていた印影の偽造リスクの問題を、ブロックチェーンの特徴である改ざん耐性を活用して解決できる点も特徴です。

デジタル上での唯一無二性の証明と、業務効率化の両方を実現できるNFT印鑑は、将来のビジネスに活用される可能性もあるでしょう。

まとめ

デジタル印鑑などが浸透しているものの、まだまだアナログのイメージを持つ人も多い「印鑑」と、最先端のデジタル技術である「NFT」が融合することで、これまでにはない新たな印鑑が登場します。NFT印鑑が当たり前の時代になっていくのか、今後の動向に注目です!

今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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