サザビーズがNFT専用マーケットプレイスである「サザビーズ・メタバース」を立ち上げる

サザビーズがNFT専用マーケットプレイスである「サザビーズ・メタバース」を立ち上げる

オークションハウス「サザビーズ(Sotheby’s )」が、独自にNFT (Non-Fungible Token、非代替性トークン)専用マーケットプレイス「サザビース・メタバース(Sotheby’s Metaverse)」を立ち上げました。これは、優良オークションハウスにおいては初めての試みです。この記事では、サザビース・メタバースの概要や、NFTアートについての情報をお伝えします。

サザビーズNFT専門のマーケットプレイス

2021年10月15日、数々の名だたる美術品や高級品を扱ってきた歴史あるオークションハウス「サザビーズ」が、独自のNFT専用マーケットとしてサザビース・メタバースを立ち上げました。サザビース・メタバースでは、サザビースの専門家によって厳選されたNFTコレクションが販売されるとのこと。サザビースのすべてのNFT販売がこのサザビース・メタバースで行われます。

サザビーズ・メタバースの決済はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETC)、USDコイン(USCD)といった仮想通貨の他、クレジットカードなどの法定通貨でも可能とされています。なお、サザビーズ・メタバースのオークションに参加するには、アカウント登録と本人確認を完了している必要があるとのことです。

サザビーズ・メタバースはレイアウトもNFTに特化しており、取引履歴などが簡単に確認出来るほか、それぞれのアート作品の意味合いやアーティストの略歴といった各アートについての情報も確認出来るのが特徴です。また、サザビース・メタバースに登録すると、NFTアーティストのPak氏がデザインしたプロフィール画像もプレゼントされるとのこと。投資だけでなく、アート作品を楽しめる場としても設計されているのが伺えます。

(引用:サザビース・メタバース公式サイト)

限定的だったNFTの取り扱いを本格的に

世界に先駆けてインターネットでのオークション開催を行うなど、デジタル化にも積極的に取り組んできたサザビース。デジタルアートが勢いを増していく中、これまでにも仮想通貨での支払いやNFT販売の試みは行われています。大手暗号資産取引所の「コインベース(Coinbase)」と提携し、ビットコインとイーサリアムでの決済も受け付けるようになり、2021年5月に落札された匿名アーティスト「バンクシー」の代表作「Love is in the Air」がその最初の支払いとなったのも話題となりました。

しかし、2020年に始まったNFTの販売が飛躍的に伸びつつあるサザビーズでも、その扱いはあくまでも限定的なものに留まっていました。オークションハウスのデジタル世界への参入によってNFTアートがどのような動きを見せるかは注視していくべきでしょう。

サザビーズ・メタバースでチャリティーオークションを開催

今回サザビースは、公衆衛生支援を行っているNPO法人「ソステント(Sostento)」と協力し、サザビース・メタバースでチャリティーオークションを開催することも発表しています。

「Gifted: The 140 Collection」と題されたこのチャリティーオークションは、サザビーズの「過去最大のNFTチャリティーオークション」となる見込みです。「Gifted: The 140 Collection」で販売されるのは2021年6月にTwitter社がランダムなフォロワー140人にプレゼントしたNFT。Twitter社からNFTをプレゼントされたフォロワーは「ベスティ(The Besties)」と呼ばれていますが、今回はこの140人のベスティのうち7人から7個のNFTのフルセットが提供されるとのことです。オークションの収益は全てソステントに寄付され、新型コロナウィルスのパンデミックやオピオイドの過剰摂取といった薬物被害の対応にあたっている医療従事者の支援に充てられるとしています。

NFTのキュレーションは難しい

ユーザーからもアーティストからも関心が高まり、勢いを見せるNFTアートですが、とはいえ、懸念がないわけではありません。そもそも、「NFTのキュレーションは難しい」とみる意見もあります。NFT市場は2021年に急速な拡大を見せていますが、その動きはまだまだ予測の出来ない部分も多く、法的な規制も追いついていない側面があるのも実情です。

無名作家のアートに数億円の価値が生まれることも

NFTアートの世界では、無名作家の作品であっても数億円という価値がつけられることも珍しくありません。NFTへの参入が増え、アート作品の購入が単に芸術愛好家によるコレクションというだけではなく、投機を主眼とした参入者も増えているのがその背景にあります。中には子供が自由研究で描いたドット絵がインフルエンサーの拡散により、高値で取引される例も。ギャラリーやアート会社を介さず、直接アーティストを支援できるNFTアートはアート産業を変えていくことができるのではという業界の期待が高まっていることもあり、誰のどの作品がどれほどの価値をつけられるかは非常に読みづらい状況だと言えるでしょう。

有名NFTアートのポイントとは?

有名、無名に関わらず、オープンな場所で誰もが公平に取引が出来るNFTプラットフォームは、ギャラリーなどとのコネクションを持たないアーティストにも活躍の場を広げる後押しとなりました。課題はもちろんあるものの、既にNFTアート市場では様々なアーティストが活躍しています。ビープル(Beeple)氏、村上隆氏、マイケル・ターナー(Michel Turner)氏などのほか、先に挙げたバンクシーもこれからオークションを開催予定です。

NFTアートの有名作品としては、ビープル氏によって作成された史上初のNFTアート作品「The First 5000 Days」やTwitter社のCEOジャック・ドーシー氏の初ツイート、実在する家をベースにキイ・アレンス氏が制作した「221 Dryden Street comes」などが挙げられます。そのどれもが、デジタルコンテンツでありながら、実際に存在する現物のアートと同じ高い価値を認められているのが特徴です。NFTアートはあくまでもデジタルで複製可能なものであるため誰にでも複製が可能ですが、NFT化されることで取引はデジタルデータ化され、その固有性と正当性は証明されます。NFTアートを所有することは、たくさんある複製データのひとつを所有するのではなく、あくまでもオリジナルを自身のものとするコレクション性を保持しており、そこは現物のアート作品と変わりません。それだけでなく、購入者が再販するのも可能なのがNFTアートの魅力であり、所有欲と資産需要というふたつの側面を持ち合わせているのがポイントです。

まとめ

アート作品はリアルな世界で楽しむものであり、ギャラリーやアート会社を通じて手に入れるというこれまでの概念は少しずつ変化を遂げています。世界的な権威のあるオークションハウスのサザビースが独自NFTプラットフォームを立ち上げたことは、アーティストやそれを支援する層とNFT購買層のどちらにも、NFTアートへの関心をますます高めることに繋がるでしょう。

今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。

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