アメリカの企業Valve Corporationが運営するゲームプラットフォーム「Steam」は、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)ゲームを排除する意向を示しました。NFT市場が盛り上がりを見せるなか、今回の排除にはどのような狙いがあるのでしょうか?
この記事では、ValveがNFTゲームを排除した理由や、NFTゲームを取り扱うゲームプラットフォームの事例をご紹介します。
Steamで禁止されたNFTゲーム
ここでは、Steamで実際に禁止されたNFTゲームの事例と、禁止した狙いはどこにあるのかを見ていきましょう。
NFTゲーム「Age of Rust」が禁止に
NFTゲーム「Age of Rust」は、実際にリリースが不可となったゲームの一つ。
Age of Rustでは、ゲーム内アイテムやミッションなどをNFTとして発行する予定でした。また、NFTプラットフォーム「Enjin」の機能を利用し、ほかのゲーム内で得たNFTを利用する「マルチバースNFT」要素も取り入れることを視野に入れていました。
禁止した狙いはどこに?
プラットフォームがお金儲けのツールとなるのを懸念していることが、今回SteamがNFTを禁止した一因のようです。というのも、ゲーム内で金銭のやり取りができることに対する規制が強化されている傾向にあります。特に米ワシントン州では、ゲーム内で金銭のやり取りができる場合は、そのゲームをギャンブルに分類できるという厳しい法律を定めています。
また、プラットフォーム外でお金が動くのを懸念していることも一因です。NFTの人気が高まっているのは事実ですが、SteamでNFTゲームを利用でき、NFTが取引されるようになれば、プラットフォーム外で暗号資産(仮想通貨)が動くということ。すなわち、基本的にはSteamの売り上げになりません。そのため、維持運営ができなくなる可能性があると考えているようです。
29組織がSteamのNFTゲーム禁止を非難
今回のNFT禁止に対し、29組織が、禁止を撤回するようValveに求める公開書簡を発表しました。29組織には、デジタル著作権に特化した非営利団体Fight for the Futureや、ブロックチェーンプラットフォームEnjin、ゲーム業界におけるブロックチェーンの活用を促進するブロックチェーンゲーム・アライアンスなどが含まれています。
ゲームプラットフォームとNFTの相性
SteamはNFTを禁止しましたが、ゲームプラットフォームとNFTの相性が悪いかといえば、そうではありません。ゲームプラットフォームでNFTを利用できるようにすることで、ユーザーの交流や共同作業が活発になると考えられています。またゲームを、現在よりもさらに民主的かつプレイヤー重視のものにできる可能性があるとも考えられているのです。
NFTが利用可能なゲームプラットフォーム
NFTが利用可能なゲームプラットフォームは、すでに存在します。ここでは、最近リリースされたプラットフォームの事例をご紹介します。
Ubisoft Quartz
Ubisoft Entertainmentは、ブロックチェーン技術を利用した新たなプラットフォーム「Ubisoft Quartz」のβ版をリリースし、ゲームソフト「ゴーストリコン ブレイクポイント」のPC版で試験導入することを発表しました。同プラットフォームでは、独自NFT「Digit」を発行できます。
12月9日、12日、15日には、最初の3つのDigitが、先行登録者に対して無料配布されました。受け取りが可能な人は以下の条件となっており、日本は対象外でした。
- Ubisoft EntertainmentのPCゲームプラットフォーム「Ubisoft Connect」でゲームをプレイしている
- Ubisoft Connectで二要素認証を有効にしている
- レベル5以上
- 18歳以上
- 対象国(アメリカ・イタリア・オーストラリア・カナダ・スペイン・ドイツ・・ブラジルフランス・ベルギー)に居住している
配布されたDigitsは、シリアルナンバー入りカスタマイズアイテムとなっています。このDigitsは、認証済みのマーケットプレイスで売りに出すこともでき、メタデータには過去に所有した歴代のプレイヤーネームが記載されていくといいます。
まとめ
Steamの事例にあるように、ゲームプラットフォームでNFTを取り扱う際にはいくつかの懸念点は存在します。ただ、ゲームプラットフォームがNFTを取り扱うことで、単にゲーム内アイテムを保有するだけでなく、プラットフォーム上に存在する複数タイトル間でNFTの持ち越しができるなど、さまざまな機能を増やせる可能性もあります。現在ゲームプラットフォームが抱えている課題を解決し、ゲームプラットフォームとNFTを融合させれば、ゲーム業界のトレンドが変わっていくでしょう。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。