物理的な商品やデジタル商品における偽物被害が相次いでおり、そうした被害を減らすためにNFTの活用が注目されています。この記事では、NFTを活用した真贋判定はどのように行われるのか、NFTの真贋判定はどこまで安全なのかを解説します。
NFTと真贋判定の親和性に注目
ここでは、NFTと真贋証明の親和性に注目していきましょう。
偽ブランドの被害額は年間6000円億円を超える
そもそも真贋証明の必要性が高まっている理由として、偽ブランドなどによる被害が増えていることが挙げられます。
偽ブランド品などの商標権侵害物品の摘発は後を立たず、2021年に税関が没収した商標権侵害物品は2万7,000件以上、点数にすると約62万点に上ります。
知的財産の保護に取り組む団体によれば、正規のブランド側がフリマサイトや通販サイトに対して、偽物が出品されているとして削除を依頼した件数は、2021年1年間で58万件以上に上ります。そして、偽ブランドによる被害損失は、推計で年間6000億円を超えるといいます。
NFTで偽物を手軽に判定できるようになるかも?
NFTを活用すれば、このような偽物を手軽に判定できるようになるかもしれません。NFTには、物理的な商品やデジタル商品を、唯一無二の商品として特定を可能にする機能が備わっているからです。
NFTで真贋判定を行うためにはどうすれば良い?
実際にNFTを活用して真贋証明を行うためにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、実際にNFTで真贋判定を行うサービスを例に、真贋判定でどのような技術が用いられているのかを解説します。
ブロックチェーン技術を活用してブロックチェーンソリューションを提供するシステム開発企業「クリプトモールジャパン株式会社」は2022年10月、真贋証明が担保されたショッピングモール「ハイブリッドNFTマーケットプレイス(R)」のOEM提供を開始しました。
「ハイブリッドNFTマーケットプレイス(R)」上で物理的商品を購入すると、当該商品のデジタルNFTが自動的に付与され、真贋証明およびサプライチェーン(トレーサビリティ)を100%担保した状態で、手元に物理的商品が届きます。
このサービスで使われている3つの技術を見ていきましょう。
チップの埋め込み
鑑定証明チップ(R)が活用されています。鑑定証明チップ(R)とは、通常のICチップではなく、トランスアンカーによる唯一無二のユニークID(秘密鍵入り)を付与したICチップです。
ユニークID(秘密鍵入り)を付与することで、ICチップそのものをコピーできたとしても、別途当該「秘密鍵」に関する「公開鍵」が存在しなければ認証できない仕組みになっています。2つ以上の認証要素が必要なため、強固な真贋証明を実現することにつながります。
ブロックチェーンの活用
ブロックチェーンは、複数の場所にデータを分散保持させることで、変更・削除・その他改ざんができなくなるようにする技術です。
ブロックチェーンには、追跡可能性、耐改ざん性、その他透明性を半永久的に担保する技術があり、真贋証明をする際に役立ちます。
デジタルNFTとアナログNFTの組み合わせ
デジタルNFTとアナログNFTを組み合わせることでも、真贋証明を可能にしています。アナログNFTとは、物理的・フィジカル・リアルな商品に「鑑定証明チップ」などの工夫を凝らすことで、唯一無二の商品として特定を可能にするNFTです。
デジタルNFTとアナログNFTを組み合わせたものを、ハイブリッドNFTといいます。これら2点以上を認証させることで、模倣品問題の解決につながります。
真贋判定を導入しているビジネス
ここまでは、NFTをどのように活用すれば真贋判定ができるのかをご紹介しました。ここからは、実際に真贋判定を導入しているビジネスの例を見ていきましょう。
Web3セキュリティツールが危険なサイトや偽物のNFTを検知
Web3領域の事業を進めるスタートアップの株式会社woorthは2022年6月、Web3セキュリティツール「eagis」をリリースしました。
eagisは、Chrome拡張機能としてさまざまなブラウザで利用でき、面倒なアカウント登録や月額費用は一切不要です。危険なサイトや偽物のNFTを検知すると、ポッポアップを表示することで警告してくれます。
2社の提携により、企業や自治体が発行するNFTの真贋証明が可能に
マルチチェーンNFTマーケットプレイス「tofuNFT」を運営する株式会社COINJINJAは、NFTの配布と企画に特化したトークングラフマーケティングを実践するSUSHI TOP MARKETING株式会社と業務提携することを2月に発表しました。
SUSHI TOP MARKETINGは、誰でも簡単にNFTの配布と受け取りができるサービス「NFT Shot」を提供しています。QRやURLを介して簡単にNFTを配布でき、自分のNFT Walletを持っていないユーザーでもNFTを体験してもらうことができます。
今回の2社が提携することで、SUSHI TOP MARKETINGで配布を支援したNFTについて、すぐにtofuNFTでの認証・verify作業を行い、tofuNFTでのシームレスなユーザー体験を実現させます。
これにより、企業や自治体が発行するNFTの真贋証明が迅速に行われるため、悪質なフィッシング詐欺などから消費者を保護でき、より安全にNFTコンテンツを楽しんでもらえるとのことです。
まとめ
真贋判定を導入したサービスはすでに存在し、物理的な商品やデジタル商品の偽物被害が相次いで報告されるいま、そうしたビジネスの必要性は高まっているといえます。”偽物被害”と一言でいっても、被害が発生する分野はさまざまです。今後は各分野に適した形で、真贋判定を導入したサービスが増えていくかもしれません。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。