アートや音楽などの分野で活用されているイメージの強いNFTですが、最近では、地方創生を目的としてNFTを活用する事例が増えています。
この生地では、NFTが持つ地方創生への可能性や、実際にNFTが活用されている事例をご紹介します。
NFTが持つ地方創生への可能性
地方創生のためにNFTを活用することで、以下の2つのメリットが期待されています。
- 関係人口の拡大
- 財源の確保
関係人口とは、その地域に暮らしている定住人口でもなく、観光などで訪れた交流人口でもない、地域とさまざまな形で関わる人のことです。地方自治体がNFTを活用することで、関係人口が増えることが期待されます。これにより、その地域に暮らす人だけでは解決できないような問題も、解決に導けると考えられています。
また、財源の確保も、NFTの活用により大きく期待されるメリットです。地方創生に取り組む際、財源不足に苦しむ自治体も少なくありません。自治体がNFTを自ら販売し、得られた売上は、地方創生の貴重な活動資金となることもあるでしょう。
NFTと地方創生の成功事例
ここでは、実際に地方創生のためにNFTを活用している、以下3つの事例をご紹介します。
- ふるさと納税の返礼品としてNFTを提供
- デジタル住民票をNFTとして発行
- 災害復興支援を目的としたNFTの発行
1つずつ詳しく見ていきましょう。
ふるさと納税の返礼品としてNFTを提供
地域の名産品や文化遺産、キャラクターなどをもとにNFTを作成し、ふるさと納税の返礼品として提供する自治体が増えてきています。
ふるさと納税におけるNFTの活用にいち早く取り組んだ自治体として知られるのが、北海道余市町です。余市町は、特産品であるワインを中心にNFTを発行し、返礼品として提供してきました。
最初のNFT返礼品では、複数のキャラクターやワインなどを組み合わせて、計54種類のイラストを作成しました。
2番目のNFT返礼品は、赤ワイン、白ワイン、ワイン樽を中心とする3種類のイラストを作成。このイラストは、ゲームアイテムになるNFTとして話題を呼びました。
3番目のNFT返礼品では、人気キャラクター「クリプトニンジャ(CryptoNinja)」とコラボしたイラストを作成。イラストには、海外から問い合わせが来るほど人気があるワインが描かれており、受付開始からわずか3分で完売しました。
デジタル住民票をNFTとして発行
新潟県長岡市の旧山古志村(山古志地域)は、21年12月にデジタル住民票を発行しました。
旧山古志村は人口800人という小さな村で、65歳以上の高齢化率が55%を超える限界集落でした。しかしNFTの発行により、発売から2ヵ月で約600万円の資金調達に成功し、デジタル住民(関係人口)が1,000人を超えました。
デジタル住民票を保有している人に対しては、地域活性化のプロジェクト会議に出席できる権利や、調達した資金を活用した復興・活性化プランを提案する権利などが付与されます。
災害復興支援を目的としたNFTの発行
Webメディアの企画・運営・制作などを行う株式会社ロクブンノニと、ブロックチェーン関連事業を行う合同会社Encrypto、LAを拠点とするリサイクルブランドA LOVE MOVEMENTの3社は、災害復興支援を目的としたNFTを販売することを9月12日に発表しました。
これは、2023年7月に発生した秋田県内の豪雨被害を受けて立ち上げられたプロジェクトです。
NFTは、A LOVE MOVEMENTの代表を務めるアーティスト・大久保鉄三氏とコラボレーションをして作成。A LOVE MOVEMENT設立初期から多くの人に親しまれているという「スマイルくん」をベースとしてイラストになっています。
発行されるNFTは、購入したあとに再販することも可能。二次流通で発生した料金を寄付することで、さらに寄付先に還元できるとしています。
今後の展望:NFTと地方創生の持続的な結びつき
このように地域の特色を取り入れたNFTを発表することで、地域のイメージアップにつながり、観光客の誘致にもつながることが期待されます。
一方で、「自治体のNFTを購入した人が、その自治体の一員としての意識を持てるかどうか」といった課題もあります。
というのも、地方創生という観点で見ると、NFTを購入して終わりではなく、持続的かつ深い関わりを持ってもらうことが重要だからです。
NFT所有者が自治体の一員としての意識を持ち、地方創生のために活動してもらうためには、NFT所有者にとってメリットのある話題提供や、インセンティブの付与などが必要となるでしょう。
まとめ
NFTを利用して地方創生に取り組む自治体は増えつつあり、関係人口の増加や財源確保などの成果を上げている自治体も存在します。自治体によるこのような取り組みは、これまでにNFTに興味があったものの購入に踏み切れなかったユーザーが、NFTを購入するきっかけにもなるかもしれません。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。