ここ1年〜1年半ほどで、NFT関連企業を買収する企業が増えてきています。この記事では、NFT事業の買収とはそもそも何を指すのかを解説し、NFT関連企業の買収事例もご紹介します。NFT関連企業の買収によるNFT所有者への影響も解説しますので、NFTを所有している方などはぜひ参考にしてください。
NFT事業の買収とは何か?
NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)の買収とは、ある個人や企業が以下のような取り組みをすることを指します。
- 他の企業が保有しているNFTコレクションを取得する
- NFT関連企業そのものを買収する
1つ目については誤解が生じやすいので注意が必要です。NFTコレクションを買収することで、買収した個人や企業は、そのコレクションの運営権や知的財産権を取得できます。つまり、NFT自体を購入したわけではなく、NFTに付随する権利を購入することになるのです。
このように、一口にNFTを買収したといっても、買収の対象はいくつか存在します。
NFT関連企業を買収する意図は何か?
それでは、個人や企業がNFT関連企業を買収する意図はどこにあるのでしょうか。具体的な意図として、次のようなものが挙げられます。
- NFT・メタバース領域への参入
- 自社のNFT・メタバース領域の拡大を見据えた技術やIPの獲得
- 既存のNFTコレクションの活性化・改善・販売のための市場価値の向上
このように買収の目的はさまざまです。
NFT関連企業が買収された際の影響とは
NFT関連企業が買収されると、どのような影響が懸念されるのでしょうか。
NFT買収は、価格の上昇や市場の流動性の向上などのポジティブな影響をもたらす一方で、価格の操作や偽造品の出現などのネガティブな影響もあります。
企業同士のやりとりで完結するわけではなく、NFTの所有者に大きな影響を与える可能性もあるため、市場の動向に対する理解が必要です。
NFT関連企業の買収や再編が進むことによる未来とは
NFT関連企業の買収や再編が進むことで、NFT市場の未来はどうなっていくのでしょうか。
NFT市場は今後さらに拡大し、それに伴いNFT買収も増えていくことが予想されます。しかし、現時点ではNFT買収に関する規制は整備されておらず、さきほどご紹介したような、NFT所有者へのネガティブな影響が懸念されます。
そのため、NFT市場に参入する人々は今後の動向に注意を払い、その未来に向けた投資や戦略を考える必要があります。
ここからは、NFT関連企業の買収事例を4つご紹介します。
Web3ゲーム開発企業「LimitBreak」、NFT無料配布プラットフォーム企業「FreeNFT」を買収
アメリカ・ユタ州に拠点を置くWeb3ゲーム開発企業のLimitBreakは2023年3月、NFT無料配布プラットフォーム企業FreeNFTを買収しました。
今回の買収により、LimitBreakはFreeNFTが培ったマーケティング資産を獲得したとしています。2社の強みを生かしていくことで、クリエイターを支援するためのNFT無料配布プラットフォームを提供することを目指していくとのことです。
米eコマース大手「eBay」、NFT電子市場「KnownOrigin」を買収
米eコマース大手のeBayは2022年6月、イギリス発のNFT電子市場「KnownOrigin」を買収しました。
eBayは2021年5月にポリシーを変更し、NFTの販売を行えるようにすることを発表していました。今回の買収について、「eBayの技術主導の改革における重要なステップであり、世界トップのコレクターズディストリビューションにデジタルコレクションの新時代を切り開くものだ」としています。
音楽配信サービス「Napster」、Web3音楽スタートアップ「Mint Songs」を買収
音楽配信サービス「Napster(ナップスター)」は2023年2月、Web3音楽スタートアップ「Mint Songs(ミントソングス)」を買収しました。
ミントソングスは、ミュージシャンが音楽やアルバムのアートワークをポリゴンブロックチェーン上でNFTとして発行し、そのNFTをコミュニティに販売・譲渡できるツールを構築しています。
今回の買収による具体的な方針は発表されていません。
Web3ファンドOFRら、NFTプロジェクト「0N1 Force」を買収
ブロックチェーン投資企業Old Fashion Research(OFR)を中心とする投資家グループは2023年2月、NFTプロジェクト「0N1 Force」を買収しました。
0N1Forceは、アニメ基調のジェネラティブアートのPFP NFTコレクション。PFP(profile picture)とは、SNSのアイコンに使われるNFTアートのことで、これまでに、横向きの顔のイラストを特徴とした7777個のNFTを発行しています。
OFRをはじめとする投資家グループは今回の買収により、「メタバースを土台とする有力IP(知的財産)」として地位を確立させることを目指す意向です。
まとめ
NFT関連企業の買収事例からわかるように、買収の目的はさまざまです。特に自分が保有するNFTに関わる買収については、どのような目的で行われるのかを注視し、ネガティブな影響が及ぶ可能性がある場合は対処する必要があります。
今後もこちらでは、NFT関連の役立つ情報をお届けしていきます。NFTや暗号資産など、ブロックチェーン技術にご興味のある方は当社に是非ご連絡ください。